635馬力のV8をミッドシップ搭載するGTカー
前後のホイールも今回新たに採用された10スポークデザインの軽量鍛造アロイホイール「ターバイン」。標準のボルトに対して35%も軽量なチタン製ホイールロックボルトをオプションで設定するなど、軽量化へのこだわりは他車と変わらない。
GTSの基本構造体は、もちろんカーボンファイバー製のモノコックで、「モノセルII-T」と呼称されるもの。マクラーレン製のスーパーカーに求められる強度、超軽量構造、剛性を誇るとともに、ルーフには再生カーボンファイバーを使用するなどの特徴を持っている。これによって最軽量乾燥重量では1456kg、DIN車両重量(フルード類に90%の燃料を搭載した状態)でも1520kgという軽量さを実現しているのだ。
ミッドに搭載される4リッターV型8気筒ツインターボエンジンの最高出力は635馬力と、GTと比較して15馬力の向上にとどまっているが、それでもパワーウェイトレシオはセグメントトップの418馬力/tを誇っている。
このエンジンに組み合わされるミッションは7速のSSG(シームレス・シフト・ギアボックス)。スタート時のデフォルトはコンフォートで滑らかでシームレス、そして素早い変速が特長。そして、ドライバーはさらなるドライビングエクスペリエンスを体験するため、スポーツとトラックの両モードをアクティブ・ダイナミクス・パネルで選択することができる。スポーツモードは瞬間的なイグニッションカット技術によって、より速くアグレッシブなシフトを実現。トラックモードではこれをさらに一段階高め、ギアボックスのパフォーマンスを最大化しつつ、シフト間のトルクロスを最小限に抑えるという。
これも軽量なアルミニウム製ダブルウイッシュボーン式サスペンションには、新たにマクラーレンのオフィシャル・インテリジェント・サスペンション・サプライヤーとなった、モンローから供給される連続可変ツインバルブ式油圧ダンパーを装備。こちらもコンフォート、スポーツ、トラックの3段階にセッティングを調節できる。
オンロードの走行で特に役立つフロントの車両リフトに必要な時間は、大幅に短縮され4秒を実現。GTSは450Lのリヤカーゴエリア、そして150Lのフロントカーゴエリアの存在も含め、非常に実用的なスーパーカーに仕上げられているのだ。
上質なキャビンもまたこのGTSでは大きな見どころのひとつ。デラックス仕様やパフォーマンス仕様の選択が可能であるほか、10.25インチのデジタルインストゥルメントディスプレイ、7インチの縦型タッチスクリーン式インフォテインメントシステムも新採用された。
スーパーカー市場のなかでも、独特なポジショニングを持つマクラーレンGTS。はたしてそれはカスタマーから、どのような評価を受けることになるのだろうか。