これじゃタクシーと変わらない! 地域によってもてんでバラバラな日本の「ライドシェア」への動き (2/2ページ)

地域ごとに異なるライドシェアの導入が検討されている

 既存のタクシー配車アプリを改良するにもいまのように地域限定でしかもサービス内容に違いがあるのでは対応できないだろう。つまり、どこまでもいまのところ、日本のライドシェアはタクシーの二軍扱いになっているように見える。

 時代の変化とともに誕生した新たなサービスを、昭和のころよりあまり変化のない既存システムに押し込めようとすると、こういう考え方になるのは当たり前と言えば当たり前。

 日本ではタクシーに限らず監督官庁ががんじがらめに規制をかけているので、日本のあらゆる物事が機能不全を起こし、デジタル化とともに変化する世界の新たな物事への対応を阻害しているようにみえる。その意味では、タクシー業界が「ライドシェア導入よりまず規制緩和を」というのも納得できないわけではない。

 タクシー会社としては何か余計なものを押し付けられている気持ちになるだろうし、いまのシステムではライドシェアをやろうという人がかなり限定的になるようにも思えるが、ライドシェアドライバーからすれば、活動できる時間や地域が限定されるのであれば従事する気にはあまりならないだろう。

 東南アジアなどでのライドシェアでは、資金力のあるオーナーがクルマをそろえ、それをドライバーに貸し出し一般的なライドシェアサービスを行った稼ぎから手数料を受け取っているといった話も聞くが、どちらかとといえば、この東南アジアタイプに日本のライドシェアは近いように見えるが、あくまで運営母体がスマホアプリでサービスを提供するプラットフォーマーではなく、タクシー事業者という点が大きく異なるように見える。

 ただ大阪府は、24時間府内全域をサービス対象として実現を目指しているとのこと。

 この地域ごとにサービス内容が異なることも大きな問題と言える。現状、東京都内など地域によっては、一部タクシー事業者が「ウーバー」など大手プラットフォーマーと提携し、たとえばウーバーアプリでタクシーを呼ぶことができる。当然ながら自分の国で日々ウーバーを利用しているインバウンド(訪日外国人観光客)はウーバーでタクシーを呼んでいる。日本のタクシー配車アプリサービスも、全国どこでも配車アプリサービスに加盟している事業者がいれば、スマホでタクシーを呼ぶことができる。いずれももちろんキャッシュレス決済は可能だ。

 地域によって利用時間や利用地域に違いがあり、さらにサービス受け付け窓口が異なるのでは、世界的に普及しているライドシェアサービスとはいえず、さらに本末転倒に近いように見える。

 本来なら政府が音頭を取って、民間丸投げでもいいから、「ジャパンライドシェアサービス」のようなプラットフォームを設けて全国規模で運営するぐらいの気合いを見せて欲しいところだが、いまの政治状況を見れば期待薄なのが実状。

 せめて、海外大手プラットフォーマーにアドバイスをもらうなど、日本に合ったライドシェアサービスの確立を目指すべきなのではなかろうか。インバウンドへの利便性の向上を目的にするならば、海外プラットフォーマーが絡まなければお話にならないのではなかろうか。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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