普通乗用車にも数多くの派生車があった
このほか3列シート車にも車名の合体が多い。カローラスパシオは相応の人気を得たが、車内は窮屈だった。そこで専用の薄型燃料タンクを備えたシエンタが発売され、カローラスパシオは終了した。
パッソセッテも3列目が狭かった。しかも車名がダメだ。ミニバンはたとえコンパクトでも、ファミリーユーザーにとって憧れの存在だ。子どもが生まれてミニバンを買い、両親は「これから子育てを頑張るぞ!」と決意を新たにする。その車名にエントリーカーの「パッソ」が付いたら、購買意欲も薄れる。
要はミニバンの顧客の気持ちが理解できておらず、機能も未熟で販売不振に陥った。その結果、一度生産を終えた初代シエンタを復活させる異例の事態となった。パッソセッテは短期間で生産を終えて、シエンタがいまも続いている。
マークXジオは、3列目シートを使うとミニバン、格納するとワゴン、格納して間仕切りも装着するとセダンになると宣伝された。ただし、Lサイズのボディなのに3列目が呆れるほど狭く、価格も割高で販売低迷に陥った。
プリウスαもワゴン風のハイブリッド専用車で、3列シート仕様もあったが狭かった。ただし、販売は好調で、発売から2年後の2013年でも、1カ月平均登録台数が8000〜9000台に達した。当時のプリウスの販売総数の内、約40%をαが占めた。それでも2014年にフルモデルチェンジされたノア&ヴォクシーがハイブリッドを用意すると、売れ行きを下降させていった。
以上のように車名を合体させた車種の多くは長続きしない。ビッグネームにあやかる発想自体に、コンセプトの甘さ、自信に欠ける商品開発があるからだ。