モデル固有の顔ではなくブランドの顔が古さを感じさせない
そのデザイン、とくに顔つきが、上級モデルと共通しているところも、廉価なコンパクトカーを立派に見せている要因だろう。フォルクスワーゲン・ポロもゴルフの顔と似ていて、正面からのパッと見、ポロかゴルフが判別できないことだってあったりする。ルノーもそうだ。
国産自動車メーカーの場合、中大型車と小型車の顔を、ヒエラルキーからしっかり区別できるように、意図的に別顔を与えていることもあるのだが、その違いもまた、輸入車のコンパクトモデル、廉価モデルを立派に見せているポイントではないだろうか。
そして、これはとくにフォルクスワーゲン・ポロ、ゴルフに言えることだが、まさにオーバークオリティなクルマ作りが行われているのだ。それはクルマの製造から細部に至るまで、ボディのプレスラインやパネルの隙間の精密感、塗装品質の高さなどを含み、ベースモデルが273.9万円から手に入るポロでも、グレードを問わず、国産コンパクトカーとは一線を画すデザイン、見映えがあって高級感ある佇まいを見せてくれるのである。
もっといえば、ガッチリとしたドアの開閉感の高さまで別次元なのである(細かい点ではゴルフ以上のモデルと違い、ポロ、ポロベースのTクロスは依然、電子パーキングブレーキ不採用だが……)。国産自動車メーカーの一部の軽自動車、コンパクトカー、Mクラスボックス型ミニバンがベンチマークとしてフォルクスワーゲン・ポロやゴルフを挙げていることも事実で(自動車メーカーの開発陣曰く、いまでもポロは先代モデル、ゴルフは7.5世代がベンチマークとすべきモデルなのだとか)、追いつき追い越すことは難しいとも聞いている。
先ほど、輸入車は安価なモデルでも高級に見える理由としてエクステリアデザインを挙げたが、筆者が2014年春から乗っていたフォルクスワーゲン・ゴルフVIIヴァリアント・ハイラインは、おそらくデザイン検討段階からボディに塗られていたであろうシルバー系のボディカラーで、リフレックスシルバーという色だったのだが、長きに渡って乗っても、その全体的なシルエットやエッジの効いたプレスラインの精密さ、塗装品質を含め(もちろん走行性能や1.4リッターターボエンジンで高速走行なら20km/L近くはいく燃費性能も)満足できた。エクステリアデザインに古さなどまったく感じられなかったほど。
そして現在、ゴルフVII最終型2020年式ゴルフ7.5ヴァリアント・マイスターに大満足のまま乗っている。ゴルフは、今回のテーマとはちょっとズレる車種とはいえ、輸入車は車種を問わず、長きに渡って乗っても、その持続可能なデザイン力の素晴らしさもあって、古さを感じにくいクルマであることも確かだと思っている。