最高900kWの充電性能をもつ中国の「チャオジ」って何だ? こんな高出力の急速充電は何に使う? (2/2ページ)

増えつつあるテスラ方式にはまだまだ課題がある

 テスラ方式は米国での承認を得て、テスラ以外の各社が適応を図る動きがある。しかしこれも、やってみないとわからない面がある。

 なぜなら、これまではテスラ車専用の充電器として、EVと充電器の相性は最適だからこそ、充電ケーブルも太くなり過ぎずに高出力化が図られてきた。この先、不特定多数の自動車メーカーのEVが相手となると、通信のやり取りなど含め、不具合が出たり改善が求められたりする懸念はなくもない。つまり、やってみないとわからないのである。

 欧州では、高出力化がひとつの流れとなっているが、そのためには充電中を含めた通信による安全確認が何より不可欠で、そこを、従来からの各種充電器と互換性を含めて実現しようというのが、チャオジの狙いだ。

 ただ、欧米ではチャデモが日本発であることへの嫌悪感がそもそもあったといわれており、日本と中国の共同によるチャオジに、欧州がどういう姿勢を見せるかは不透明だ。ただし、いくつかのメーカーはチャオジに加盟している。中国市場を無視するわけにはいかないからだろう。チャデモにも、世界の自動車メーカーの多くが加盟し、日本市場での販売につなげている。

 ところで、チャオジは、充電性能で50~900kWという幅を持つ。欧州の高性能急速充電器でも350kW水準だ。その2倍以上の高性能は何に使うのか?

 これは、大容量バッテリーを車載する大型トラックの導入を行おうとしているメルセデス・ベンツやテスラのためのもの。600kWh以上のバッテリーを急速充電するには、900kWでも30分以上かかるだろう。それでも、荷物の積み下ろし時間など考えれば実用的といえる。つまり、チャオジの最大出力は、物流向けとも言える。

 いずれにしても、過度な急速充電はバッテリーを劣化させやすい。乗用車にしても物流のトラックにしても、基礎充電と呼ぶ自宅や配送拠点での普通充電や高性能過ぎない充電で、時間をかけての充電を基本とした利用が原点になるのではないか。

 それがバッテリーを長持ちさせ、資源の有効利用にもつながることになる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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