ジェームズ・ディーンとともに伝説となった「550スパイダー」の現代版! 発売すれば確実に売れた「ポルシェ・ヴィジョンスパイダー」という幻のコンセプト (2/2ページ)

生産化されていればヒットしたこと間違いなし

 ヴィジョン・スパイダーに話を戻そう。実際にそのスタイリングを見ると、550スパイダーのような独特な丸みはややその傾向が薄れてしまってはいるものの、全体的なプロポーションや、リヤフェンダーからテール部にかけての絞り込み、あるいは低いフロントウインドウスクリーンからは、550スパイダーやその進化形である550/1500RSスパイダーの面影を感じ取ることもできる。

 ちなみにリヤのライセンスプレートにある「Little Rebel」とは、ジェームズ・ディーンが出演した「Rebel without a Cause」(理由なき反抗)と前述の「Little Bastard」からなるもの。ドアに描かれる「131」の数字は、ジェームズ・ディーンが自身の550スパイダーに掲げていたゼッケン、「130」を受け継ぐものと考えてよさそうだ。リヤフェンダー上にある「551」のロゴも、550との関連性を物語る。

 ポルシェからは実際に、このヴィジョンスパイダーに関する技術的な発表は行われなかったが、リヤビューからエキゾーストシステムが確認できないことを考えると、あるいはこのモデルは、BEVとしての可能性を模索したモデルであったのかもしれない。

 シンプルで機能的なインテリアは、やはり550スパイダーのそれを想起させるもの。

 エアロダイナミクスの優秀さも、エクステリアの造形を仔細に観察していけば、それが徐々に明らかになる。個性的な角型ヘッドライトやリヤのロールケージも、このヴィジョンスパイダーのディテールでは大きな見どころ。

 もしもその生産化が実現していれば、それも550スパイダーのように破格なプライスでの販売が行われていれば、それはポルシェにとって大ヒット作となったことは間違いない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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