この記事をまとめると
■モータースポーツ専用無線(MoSRA)について解説
■「MoSRA」はデジタル無線となっており電波が直線的に飛ぶため広域をカバーできる
■ラリーの場合は障害物に強いアナログ無線が主流となっている
モータースポーツ専用の無線がある!
読者諸兄は「MoSRA(モスラ)」という言葉を聞いたことはあるだろうか?
MoSRAとは「モータースポーツ無線協会(MoSRA)」が免許を受けたモータースポーツ専用無線のことで、サーキットを舞台にしたレース競技はもちろんのこと、封鎖した公道を舞台にしたラリー競技、舗装コースを舞台にしたジムカーナ競技、ダートラコースを舞台とするダートトライアル競技など、さまざまなカテゴリーでMoSRAを活用。競技を運営するオフィシャルを筆頭に、スーパーフォーミュラやスーパーGTなどレース競技では各チーム間の連絡に活用されている。
MoSRAに割り当てられている周波数は、423.000Khz〜423.175Khzおよび424.000Khz〜424.175Khzの電波帯で、競技関係者は安全かつスムースに競技を行うべく、この周波数を共有および割り振りしながら活用。
ちなみに、スーパーGTやスーパーフォーミュラなど、サーキットを舞台にしたレースシーンでは無線のデジタル化が推進されている。デジタル無線は電波が直線的に飛ぶため、アナログ無線よりも遠くに飛ばすことができるようになっており、国内のサーキットであればほぼ全域をカバーできるようだ。
一方、デジタル無線は障害物の多いエリアでは電波が届きにくい特性を持つことから、山間部のワイディングを舞台とするラリー競技ではいまだアナログ無線が主流である。
以上、簡単にモータースポーツでの無線事情について触れてきたが、総務省では簡易無線局のデジタル化が推し進められていることから、スーパーGTやスーパーフォーミュラだけでなく、ほかのカテゴリーでもMoSRAのデジタル化が行われていくに違いない。ラリー競技でも安定した通信を行うことができればデジタル無線に移行する可能性が高いだけに、この数年の間にMoSRAも新たな局面を迎えることになるだろう。
なお、レシーバーを用意して、周波数に合わせれば競技を観戦しているギャラリーも無線上で行われている会話を聞くことはできるが、機種によっては免許が必要なモデル、技適マークのない違法の無線機があるほか、2024年11月以降、アナログ無線機は所持・使用するだけで電波法違反となることから、無線機の取り扱いには注意が必要である。モータースポーツ観戦で無線機を使用する際は、そういったことも事前にチェックしておきたいものだ。