いまも昔もオイル交換の目安は「半年もしくは5000km」! そもそもオイルはなぜ交換が必要? 交換時期を延ばすとどうなる? (2/2ページ)

早めの交換により安全マージンを手に入れる

■オイルが減る?

 オイル交換のとき、抜いたオイルよりも補充したオイルのほうが明らかに量が多かった、と言う経験をした人もいるでしょう。あるいは普段の点検のときにオイルレベルゲージを見てみると、先月よりまたオイルの量が減っていた、なんていうケースもそこそこ耳にします。

 これは、エンジン構成部品各部の気密性が損なわれてきたときに起こりやすい症状です。

 たとえばバルブステムのシールが劣化や破損でダメージを受け、その隙間からオイルが外に漏れ出てしまうケースもありますし、また一方では、シリンダーとピストンリング間の密閉性能が落ちてしまい、その隙間からオイルが染み出して抜けてしまうこともあります。

 応急的な対処ですが、点検でレベルゲージの基準を下まわった際には、オイルゲージの真ん中より上にくるように新しいオイルを継ぎ足してあげましょう。

■燃焼室の密閉性が落ちる

 いまどきのクルマのエンジンでは、製造ラインの加工精度や組み付けの精度が上がっていることもあって、機械的に見て密閉性能が上がっているため、シリンダーとピストンの間の気密性確保において昔のエンジンよりオイルの役割りが低くなっていますが、旧い設計のエンジンでは、オイルによる密閉性が性能維持の項目に組み込まれていました。

 そのため、劣化によってオイルの粘度が下がっていくことで燃焼圧力の密閉力が保てなくなり、燃焼の圧力が逃げてしまってパワーダウンを余儀なくされてしまいます。

■エンジンオイルのグレードと耐久性

 このようにして、エンジンオイルは使用するごとに劣化したり減ったりしていくため、油膜切れなどで最悪の結果にならないように定期的な交換が望まれるわけですが、先に話した5000km走行時や半年経ったらという目安は現代のオイルにも当てはまるのでしょうか?

 エンジンオイルにはいくつかの種類があります。

 まずはベースオイルの種類です。基本要素であるベースオイルには、「鉱物油」と「化学合成油」と「部分合成油」の3つに分かれます。

「鉱物油」というのは重油から精製されたままの状態のオイルです。熱や酸化などの耐劣化性については少し弱いところがありますが、自然由来でエンジン構成素材への攻撃性が少ないため、オイルパッキンやガスケットに優しく、浸食に強くない素材のガスケットを使用した旧い設計のエンジンには向いています。

「化学合成油」というのは「鉱物油」を化学的に分解して意図的に潤滑に有利な成分だけを取り出して作られたオイルです。純度が高く不純物を含まないため、高温にも強く、潤滑の性能を長く保てる性能を有しているのがポイントです。欠点は精製に手間がかかるため、価格がどうしても高くなってしまうことです。

「部分合成油」というのは「鉱物油」に「化学合成油」を20%以上配合したオイルのことで、比較的に安価で「化学合成油」の性能をある程度持ち合わせるというコスパに優れたオイルです。

 これらのベースオイルに対して、耐酸化性の付加や極圧への耐性、粘度を維持する特性、泡立ちを抑える成分、洗浄成分などを添加剤の配合によって加えられたものが市販のオイルというわけです。

 ベースオイルの進化に加え、添加剤も日々開発が進められているため、いま販売されているオイルは数十年前のものとは比べられないくらいに性能や耐久性がアップしています。

 というようにオイルの交換時期の目安についても上方修正して良い状況と言えるのですが、では具体的にどれくらいの頻度が適正か? と問われると、使用状況とオイルの品質ごとのデータが十分に揃っていない現状ではハッキリいえませんが、おおよそ1〜2割は交換時期を延ばしてもオイルの性能は維持してくれるのではないかと考えます。

 あるいは、これまでどおりに「5000kmもしくは半年」という目安で交換を行っておけば、昔より多くの安全マージンを残して交換しているという安心感が得られるという考え方もできます。

 実際のオイル交換の頻度については、ご自身で判断していろいろ試してみてください。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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