この時代に5リッター超えのV12ターボでしかも6速MTだと!! エコとかまるで無視した110台限定のアストンマーティン・ヴァラーに絶句 (2/2ページ)

もとネタは1970年代のプライベーターのレーシングカー

 ドライブモードは「スポーツ」、「スポーツ+」、「トラック」の3種類を用意。それによってエンジンのトルク特性やスロットルレスポンス、エキゾーストサウンドなどが変化する。

 サスペンションには、こちらも専用設計となるアダプティブダンパー、スプリング、アンチロールバーが装備され、ホイールアライメントも独自の設定とされる。

 ブレーキはカーボンセラミック製ディスクを採用したもので、スチール製と比較してその軽量性はもちろんのこと、耐フェード性でも圧倒的なアドバンテージをもつ。

 そして、ヴァラーを見る人の目を常に刺激して止まなかったのは、やはりそのスタイリングだ。アストンマーティンによれば、それは1970年代にロールス・ロイス出身のエンジニアであり、自身もレーシングドライバーとして活躍したロビン・ハミルトンが、ル・マン24時間レースに参戦することを目的に、アストンマーティンDBS V8レーシングカーをさらに高度にモディファイした「RHAM/1」にインスピレーションを得たもの。

 RHAM/1とは、「ロビン・ハミルトン・アストンマーティン/1」の意で、これはベースのDBS V8を1974年から1977年の3年間にかけてレース活動に並行してモディファイを続けるなかで、新たに与えられたシャシーナンバー。そしてRHAM/1は、ハミルトンが夢見たル・マン24時間に1977年、ついに参戦することに成功したのである。

 のちにこのマシンに名づけられるニックネームの「Muncher」(むしゃむしゃと食べる、の意)は、この24時間レースでリヤのブレーキディスクがあまりにも激しく摩耗することに由来するものだ。

 アストンマーティンのレースヒストリーとともに、アナログでクラシカルなスーパーカーの走りをヴァラーによって提供してくれたアストンマーティン。

 おそらく110台のヴァラーは、すでにそのすべてがソールドアウトという状態なのだろうが、チャンスがあれば、ぜひまたその個性的なスタイルを目にしてみたい一台といえる。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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