もとネタは1970年代のプライベーターのレーシングカー
ドライブモードは「スポーツ」、「スポーツ+」、「トラック」の3種類を用意。それによってエンジンのトルク特性やスロットルレスポンス、エキゾーストサウンドなどが変化する。
サスペンションには、こちらも専用設計となるアダプティブダンパー、スプリング、アンチロールバーが装備され、ホイールアライメントも独自の設定とされる。
ブレーキはカーボンセラミック製ディスクを採用したもので、スチール製と比較してその軽量性はもちろんのこと、耐フェード性でも圧倒的なアドバンテージをもつ。
そして、ヴァラーを見る人の目を常に刺激して止まなかったのは、やはりそのスタイリングだ。アストンマーティンによれば、それは1970年代にロールス・ロイス出身のエンジニアであり、自身もレーシングドライバーとして活躍したロビン・ハミルトンが、ル・マン24時間レースに参戦することを目的に、アストンマーティンDBS V8レーシングカーをさらに高度にモディファイした「RHAM/1」にインスピレーションを得たもの。
RHAM/1とは、「ロビン・ハミルトン・アストンマーティン/1」の意で、これはベースのDBS V8を1974年から1977年の3年間にかけてレース活動に並行してモディファイを続けるなかで、新たに与えられたシャシーナンバー。そしてRHAM/1は、ハミルトンが夢見たル・マン24時間に1977年、ついに参戦することに成功したのである。
のちにこのマシンに名づけられるニックネームの「Muncher」(むしゃむしゃと食べる、の意)は、この24時間レースでリヤのブレーキディスクがあまりにも激しく摩耗することに由来するものだ。
アストンマーティンのレースヒストリーとともに、アナログでクラシカルなスーパーカーの走りをヴァラーによって提供してくれたアストンマーティン。
おそらく110台のヴァラーは、すでにそのすべてがソールドアウトという状態なのだろうが、チャンスがあれば、ぜひまたその個性的なスタイルを目にしてみたい一台といえる。