この記事をまとめると
■世界的にも有名なレースでの勝利を記念して名付けられたモデルがある
■フェラーリとマクラーレンには「ル・マン」の名が与えられたモデルが存在する
■マセラティ、メルセデス・ベンツ、アウディにもレース名を由来にした車名のモデルがある
フェラーリとマクラーレンそれぞれの「ル・マン」
今回は世界的にも有名なレースに勝利したことで、それにちなむ車名を掲げることになったモデルをいくつか紹介してみたい。個人的にレースといえば最初にイメージされるのはフェラーリというブランドだが、もちろんフェラーリにもこのような経緯で魅力的なネーミングを得たモデルはいくつか存在する。
たとえば1963年に、あの過酷なル・マン24時間レースを制した「250P」。3リッターのV型12気筒エンジンをミッドシップに搭載し、圧倒的な運動性能を発揮した250Pの活躍から半年後のパリサロンで、フェラーリはこの250Pの事実上の後継車となる「250LM」を発表。LMとはもちろんル・マンを示す称号であり、その1号車は翌1964年にデイトナ24時間でレースデビューしている。
ちなみに2号車以降の250LMは、排気量を3.3リッターに拡大した仕様となるが、車名は250LMのまま1965年のル・マン24時間を制覇するなど、こちらも大活躍を見せたのだった。
1968年のパリサロンでデビューした「365GTB/4」も、その愛称である「デイトナ」と呼ばれることが多いことを知れば、レースと何かしらの関係があることに気づくだろう。
この愛称は、1967年のデイトナ24時間レースで、フェラーリのスポーツプロトタイプ「330P4」と「412P」が、1-2-3フィニッシュを達成したことから、おもにセールス上の戦略でこう呼ばれるようになったもの。前身の「275GTB/4」から一転、シャープで現代的なフォルムへと生まれ変わったデイトナは、そのスタイリングのみならずパフォーマンスにおいても高い評価を得た1台だった。
ちなみにこのデイトナの名は、2021年に発表されたワンオフモデル、「デイトナSP3」で復活を遂げている。
ル・マン24時間レースでの勝利を祝して「LM」の名を掲げたモデルはマクラーレンにもある。1995年にル・マンに投じられ総合優勝を飾った「F1 GTR」を祝して5台のみが、当時のマクラーレン・カーズ社からデリバリーされた「F1 LM」がそれで、固定式リヤウイングの翼端板にはその成り立ちを示すGTRによるル・マン制覇のエッチングも施されている。
ミッドに搭載されるエンジンは吸気制限などの性能調整を受けないぶん、さらに668馬力とGTRから高性能化され、車重も同様の比較で10kg軽くなった。