これはチャレンジャーかケンメリか? 光岡の「M55」が自動車ファンの心を鷲づかみにした! (2/2ページ)

昔のデザインを復活させるだけでは意味がない

■デザインのこだわりポイントは?

 デザインの方向性が固まって具体的なデザインの造形プロセスに入った段階からがデザイナーの本領を発揮する見せ場と言えます。

 抜き出した1970年代の要素をただまとめただけでは、当時のカッコ良かったクルマの平均的な姿にしかなりませんので、そこに現代の造形エッセンスを盛り込み、古くさい印象を払拭する姿に仕上げないとなりません。

 具体的なポイントとしては、前後の「逆スラント処理」が挙げられます。フロントグリルの端面とテールエンドの端面の角度を垂直に仕上げるとシンプルでスマートな印象にまとまりますが、どこかしらやや古くささが漂ってしまうので、その対策として、サメの頭のように上部を少し張り出させて傾ける手法を使い、その古くささを感じさせない造形にまとめることができたとのこと。

 そのほかにも全体にわたってそういうディテールの工夫がおこなわれているそうです。

■デザインサイドの苦労

「MITSUOKA」車の特色として、ベース車があり、外装パネルを換装させてオリジナルの車両へと生まれ変わらせるという手法があります。

 今回の「M55コンセプト」もその手法で製作されたモデルです。ベースとなったホンダ・シビック(FL型)のキャビン(ルーフ、ウインドウ、ドアパネル)はベース車のままなので、最終的にその造形と、新たにつくり変えるデザインとの辻褄を合わせなくてはなりません。

 おそらくデザイナーとしてはそのジレンマと常に戦わなくてはならないというのがなかなか悩ましい部分だと想像できます。

 たとえばボンネットなどは、元のカットラインを維持しながらマッスルカーらしいエアスクープ的な意匠を盛り込んで周囲のデザインにマッチさせているのが見て取れますし、ホイールアーチ付近まで切れ込んだテールランプの鋭角な部分をパネルで塞いで上手く処理しているのも苦心の様が想像できます。

光岡の新たなコンセプトモデル「M55」が市販化熱望の1台だった

 ちなみにですが、新規に起こすとけっこうコストがかかるランプユニットですが、ここは外観の印象を左右する重要な要素なので手は抜けません。ヘッドライトは「ロックスター」と同じもので既成品が使えたそうですが、テールランプは新規にイチから製作されたものとのことで、こういう部分にもの作りの気合いの乗りが感じられます。

■「M55コンセプト」発売の時期は?

 この「M55コンセプト」の発売時期がいつになるのかが気になるところです。あくまでも現状はコンセプトカーという扱いなので、実際の発売時期は未定となっていますが、実車はかなりのクオリティで仕上げられているので、「すぐにでも発売されるのでは?」とワクワクして見ている人も少なくないと思います。

「MITSUOKA」サイドとしては、もちろん発売を前提に企画を立ち上げたことと思いますが、発売に至るまでには、ベース車両の安定調達や生産体制の構築など、いくつもの達成要件をクリアしなければならないでしょう。

 発売を心待ちにしている人は、少しでも早い発売実現を願って、SNSで、あるいは心の中で熱いラブコールを送って、少しでも早く発売されることを祈っておきましょう。

 2024年1月28日までは「MITSUOKA富山ショールーム」に展示されているそうなので、実車が見たいという人は訪れてみてはいかがでしょうか。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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