サービス向上にはスコアリングを導入するのも手
こういったことが過去に存在していただけに、日本を再度訪れてタクシーに乗ると乗務員証がないということに、「このドライバーは大丈夫だろうか」と不安を覚えるインバウンドも少なくないだろう。
海外ではたとえばホテル検索サイトや、ウーバーなどのライドシェアマッチングサービスなどを使うと、利用後にスタッフのスコアリング(評点)を求めてくることが多い。このスコアリングが人事評価や収入を大きく左右するようで、これもタクシーの違法営業の抑止に一役買っている。また、ホテルで部屋からフロントまで荷物を運んでくれたりすると、そのスタッフがやたら「スコアリングするときには、ぜひ私のサービスが良かったと記入してくれ」と自分の氏名を積極的に伝えてくる。
トラブル防止もあるのだろうが、あっけなく運転士の名前を隠すというのは、いかにも日本らしいとも感じている。ちなみに中国のタクシーの乗務員証は登録番号が大きく印字され、氏名が小さく書かれており助手席にでも座らないとなかなか判読できない。このようにレイアウト変更するだけでも良かったのかもしれない。
たとえばインドでは、我々外国人の移動手段としてはウーバーでプライベートタクシーを呼んで移動するのが主流(普通のタクシーは相乗りが原則でしかも少ない)。
スマホで呼べないころは丸1日でチャーターすることになるのだが、指定時刻よりも30分ほど遅れてやってくるのが当たり前だった。しかし、現在はウーバーによる配車となり、ドライバー個々の評価ができるようになると、システム上最寄りの車両が配車されるので当たり前なのだが、ある程度時間どおりに迎えに来るようになって利便性が向上した。もちろんスコアリングを意識しているのか、愛想のいいドライバーが目立つようになっている。
日本のタクシーでも、スマホアプリでの配車サービスでは利用後に運転士を評価することが可能だ。運転士に対し上から目線で高圧的な態度を見せる乗客の存在というのは論外だが、世界的にもそのサービスに定評のある日本のタクシーでも、まだまだ若い女性など一部からは安心して利用できないとの声も聞く。
最近は助手席ヘッドレスト裏にカード決済ができたりもするディスプレイを設置する車両が多いので、このディスプレイに降車時にボタンを押すだけとなる簡単なスコアリングコーナーを設けてみるのはいかがだろうか。タクシーサービスの向上は利用者だけでなく、運転士側両方で改善していくことも大切ではないかと感じている。