グレードによって「まるで別モノ」の走りになるクルマもある!
これは、筆者が乗っていたクルマで実際にあった話だが、その輸入車はグレード別に1.2リッターと1.4リッターのエンジンが用意されていた。当然リーズナブルなのは1.2リッターなのだが、速さだけでなく、走りの質感、シートのかけ心地までまったく異なっていたのだ。よって、迷わず走りの質感が高く、スポーツシートの最高のかけ心地に惚れ、1.4リッターのほうを買って9年間満足して乗り続けられたことがある。
また、これまたある輸入車は、標準グレードで1リッターガソリンターボ、1.5リッターガソリンターボ、2リッタークリーンディーゼルターボの3種類のパワーユニットを揃えているのだが、これまた走りのテイストがそれぞれまったく異なる。1リッターモデルは軽快さがポイントながら、どこか日本車っぽく、輸入車らしさを味わうには物足りない。1.5リッター以上のガソリン車、またはディーゼルターボを買わないと、あくまで個人的な印象ながら、そのブランドらしい走りのテイストが味わいにくいと思えるのだ。
よって、可能な限り、予算の範囲内でグレード違い、パワーユニット違いのクルマに試乗してから決断することを薦める。大きな買い物、何年かは付き合うだけに、妥協はしたくないものだ。
これは現在のクルマの電動化突進時代の「あるある」かも知れないが、同じ車種でHVとPHEVがある場合、当然ながらPHEVのほうが高価になる。しかし、じつは購入してみると、HVとPHEVの値段があまり変わらず、あるいはPHEVのほうが安く買えるケースがあったりする。
たとえばいま大ブレーク中のトヨタ・プリウスだ。HVのFF、Zグレードの車両本体価格は370万円。一方、同じZグレードのPHEV(FFのみ)は460万円だ。その価格差は90万円である。しかし、PHEVに国からの補助金上限55万円が適用されたとすると、HVとの価格差は35万円に縮まり、自治体の補助金が加われば、その差はさらに小さくなる。東京都の例で補助金上限が45万円だとすれば、PHEVの補助金は合計最大100万円。東京都に住み、両方の補助金が適用されれば、PHEVは国の政策でHVモデルより10万円安く手に入れることも可能となるのである。
もちろん、自宅に充電設備がない、充電するのは面倒……であれば、先代と違い、PHEVとデザイン的にほとんど変わらないHVで十分に満足できるのがプリウスなのだが……。
そして、最後に紹介したいのは、いまやクルマに不可欠とも言えるナビゲーション。「いや、スマホのナビアプリで十分、ギガ大容量、無制限プランだから、ナビ機能に通信量が盛大に発生してもまったく問題なし」という人は別にして、デザインがインテリアに合い、クルマの機能とも連携する純正ナビにこだわりたい人は要注意。
そもそもセンターディスプレイがオプションのケースも少なくないが、センターディスプレイを付けてもナビ機能は別……という売り方もあり、たとえばフォルクスワーゲンID.4のように、輸入車の一部はそもそもディスプレイがスマホのナビアプリとの連携前提で存在し、純正ナビ機能を持たない車種もあるから、純正ナビ派にとっては困ったものだ。
このあたりは購入前にしっかりと確認したい。注文書にハンコを押してから、欲しい純正ナビ機能がないことに気づいても遅すぎる……。