この記事をまとめると
■友達のクルマで送迎したもらった際のお礼として金品の授受は違法に当たるのかを解説
■国土交通省は許可又は登録が不要な「自家用車を使った運送で利用者が支払う謝礼の範囲」を示している
■自発的な「行為に対する謝礼」は問題ないが、自家用車での送迎後に料金を請求することは違法
認められる謝礼の範囲は決められていた
深刻なタクシー不足から、「ライドシェア」解禁について関係者で議論がなされている最中だが、少なくとも現状では、自家用車の有償運送は禁止されており、違反者、いわゆる白タク行為は1年以下の懲役または150万円以下の罰金が科される可能性がある(道路運送法78条)。
でも、友人や知人にクルマを出してもらったとき、何もお礼をしないわけにはいかないし、そのお礼にお金を渡すとひょっとして違法になる?
結論からすれば、必要な実費の負担(割り勘を含む)であれば、問題ない。「有償」とは、「利益を得るような行為に対し、対価として物や金を支払うこと」なので、常識的な範囲ならお礼をしても違法性はない。
具体的には、国土交通省は2018年3月に出した、「自家用車を使った運送で利用者が支払う謝礼の範囲」の通達が基準になると考えられる。
この通達では、許可又は登録が不要な場合を、下記の4つの類型に区分している。
①利用者からの給付が「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合
②利用者からの給付が、金銭的な価値の換算が困難な財物などでなされる場合
③利用者が、特定費用「ガソリン代、道路通行料、駐車場料金」を負担する場合
④市町村が公費で負担するなど利用者は対価を負担していない場合
※謝礼の誘引、評価で謝礼を促す、謝礼経由で決済は自発的謝礼といえない
つまり、自家用車で運送し料金を請求するのはアウト。また、人件費、車両償却費、保険料等の負担や仲介手数料の還流などは違反になる。
クルマを出してもらったときのお礼については、友人・知人の間でも意外にモヤモヤしたり、小さなトラブルに発展することもあるようなので、移動距離に応じて、クルマを出してくれた人が損をしないように、実費の一部を負担して感謝とねぎらいの言葉を忘れないよう心がけよう。