フィスカーを襲う厳しい状況からの経営破綻
カルマの第一号車はアメリカの俳優、レオナルド・ディカプリオに納車されたが、ここからフィスカー・オートモーティブ社が歩んだ道のりは、あまりにも厳しいものだった。さまざまな理由によるリコール続きや、前で触れたABCシステムズ社の経営危機に端を発する、5カ月にもわたるカルマの生産停止。
フィスカーはカルマの派生車種としてオープン仕様の「サンセット」や、ワゴンスタイルの「サーフ」、コンパクトセダンの「アトランティック」等々のデザインを次々に生み出していたが、それらの計画はすべて凍結。結果フィスカー・オートモーティブ社は2013年に経営破綻するに至ったのだった。
経営破綻したフィスカー・オートモーティブは、中国の自動車部品メーカーである万向集団に買収されるが、フィスカーの商標権はヘンリックの元に残り、それ以降も彼はカルマのボディにGM製の6.2リッターV型8気筒エンジンを搭載した「ディスティーノ」の生産にも携わった。
さらに2016年にはBEVを自社開発、そして自社生産する新会社のフィスカー・インク社を設立。個性的で持続可能な自動車の生産という夢は、いまも確かに続いている。
ちなみに「エモーション」とネーミングされたそのBEVは、テスラのモデルSなどを直接のライバルとするモデル。4枚のシザースドアを持ち、644kmの最大航続距離を持つなど、多くの魅力が詰め込まれた一台となっている。