1号車はレオナルド・ディカプリオの元へ! 時代を先取りするも消えた「フィスカー・カルマ」という不運のクルマ (2/2ページ)

フィスカーを襲う厳しい状況からの経営破綻

 カルマの第一号車はアメリカの俳優、レオナルド・ディカプリオに納車されたが、ここからフィスカー・オートモーティブ社が歩んだ道のりは、あまりにも厳しいものだった。さまざまな理由によるリコール続きや、前で触れたABCシステムズ社の経営危機に端を発する、5カ月にもわたるカルマの生産停止。

 フィスカーはカルマの派生車種としてオープン仕様の「サンセット」や、ワゴンスタイルの「サーフ」、コンパクトセダンの「アトランティック」等々のデザインを次々に生み出していたが、それらの計画はすべて凍結。結果フィスカー・オートモーティブ社は2013年に経営破綻するに至ったのだった。

 経営破綻したフィスカー・オートモーティブは、中国の自動車部品メーカーである万向集団に買収されるが、フィスカーの商標権はヘンリックの元に残り、それ以降も彼はカルマのボディにGM製の6.2リッターV型8気筒エンジンを搭載した「ディスティーノ」の生産にも携わった。

 さらに2016年にはBEVを自社開発、そして自社生産する新会社のフィスカー・インク社を設立。個性的で持続可能な自動車の生産という夢は、いまも確かに続いている。

 ちなみに「エモーション」とネーミングされたそのBEVは、テスラのモデルSなどを直接のライバルとするモデル。4枚のシザースドアを持ち、644kmの最大航続距離を持つなど、多くの魅力が詰め込まれた一台となっている。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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