100周年記念行事は鈴鹿サーキットをバスで1周
近年の山本被服は、ホンダへの作業服の納入率はほぼ100%に達しています。そんな山本被服は、船外機などを製造している浜松製作所に“飛び込み”で作業服納入の営業をかけたことが、ホンダに作業服を納め始める切っかけとなったそうで、浜松製作所ではなくホンダの本社から打診があり、本格的な納入が始まっています。
山本被服がホンダに作業服納めるようになった頃、納入業者は合わせて3社あったそうです。後発の山本被服はいろいろ工夫を重ねていきました。例えば作業服の強度(耐久性)を増しながら袖に腕を通しやすく、またズボンも履きやすくすることを考えて上着の袖やズボンの脇と股下を、3本針ミシンを使って巻き縫いとしています。こうすることで耐久性も一層高くなったそうで、ホンダの担当者も「山本被服さんの作業着はとても長もちします」と太鼓判を押すようになりました。いまでは山本被服がほぼ100%納入していて、大量生産分は中国福建省にある100%自社資本の福州山本服装有限公司で生産し、オーバーサイズなどの特注品は本社工場で対応しています。
こうして発展してきた山本被服は、今年、創業から100周年を迎えることになりました。どんな記念行事を行うか社内でもいろいろなアイデアが出され、山本被服の大きな取引先であるホンダの鈴鹿製作所を見学し、鈴鹿サーキットの遊園地を楽しむプランに決定しました。当初は中国工場の従業員も全員呼んで、との案も提案され、4代目の山本豪彦・現社長からもふたつ返事でOKが出たようですが、プランを詰めていく段階ではコロナ感染の影響もあって見送らざるを得なくなり、結果的に本社に勤務する従業員とその家族、約100名、大型バス2台と小型バス1台という大部隊で鈴鹿を目指すことになりました。
静岡県の東部をバス3台に分乗してスタートした一行は、予定より少し遅れて午後1時半過ぎに鈴鹿製作所に到着。オリエンテーションを済ませていよいよ工場見学となりました。生産ラインなどを見学した社員からは、「ホンダの社員さんが、自分が仕上げた作業服を着て作業しているのを見て感激した」との声や「改めて、自分の仕事に自信が持てた」との声も聞かれました。
工場見学を終えた一行は再びバスに乗車して鈴鹿サーキットに移動。3台のバスはセーフティカーの先導でAパドック内を移動し、コース脇で“そのとき”を待っています。当日は、週末のロードレースに向け、多くのバイクが練習走行をしていましたが、それも終わるといよよコースインとなります。
一度、メインスタンドの前で3台のバスが止まり、全員揃っての記念撮影となりましたが、若い社員の多くが、バスを先導するセーフティカーに興味津々な様子。「オーバーフェンダーがカッコいいですね」などとの感想が聞かれました。
その後、バスでコースを1周というプログラムで、これには全員が満足げな表情を浮かべていました。そして鈴鹿サーキットホテルにチェックインした後は全員が揃っての夕食会。
ここでは山本社長が「次の100年に向けて頑張ろう」と挨拶し、このツアーを企画した社員を労ったあと、鈴鹿サーキットから山本被服の創業100周年を祝う特製のケーキが贈られ会場は一層盛り上がっていました。
そして翌日は鈴鹿サーキットの遊園地を楽しみ、参加者全員がツアーを満喫したようです。