クルマなし! 装備なし! それでも腕が磨ける「プロが教えるドライビングレッスン」に潜入した (2/2ページ)

プロからリーズナブルにドライビングスキルを学べる!

 まず、施設内には油圧でクルマの挙動のような動きを再現するシミュレーターが6台用意されている。コースは権利の関係でシミュレーター内のオリジナルコースだ。使用するクルマは原則ATとなっているので、初めての人でも簡単に乗って動かすことができる点も嬉しい。

 しかし、スキルや練度によって内容が簡単に変えられるのがこのシミュレーターのいいところでもある。なので、写真内にもあるようにMTに設定することももちろん可能だ。

 まだまだ現実世界では「シミュレーター? ゲームでしょ(笑)」みたいな認知があるのは事実だが、実際にプロのレーシングドライバーもこういったシミュレーターで練習しているほか、筆者の知人では暇さえあれば数時間座りっぱなしでプレイしているみたいなドライバーもいる。その人は今年とあるレースで年間チャンピオンに輝いている。

 シミュレーター最大のメリットは、クルマが壊れず人が怪我しない点だ。実車をぶつけたら数十万円、下手したら初日で廃車みたいなこともあるが、ゲームなら心配無用。思い切って走ることができる。

 そして、ソフト側でタイヤや天候も設定できるので、受講生の要望に合わせてセッティングが取れるのも嬉しい。また、この「Bridgestone eMotorsport Institute」では、スマートフォンアプリ内やモニターでカルテを見ることもでき、記録もできるので自身の成長を身近に確認できる点も注目だ。

 実際コースを走ってみると、これがまた面白いくらいリアルにクルマが動くのだ。油圧制御のシートになっているので、縁石に乗り上げたり、タイヤが滑ったときの挙動、ステアリングの応答など、かなり実車に近い。ただ、モニター越しの視野の狭さやGのラグがどうしても発生してしまうので、「完全に実車じゃん!」とまではいかないが、やり込めば確実にスキルアップするのではないかと感じた。プロが常にやっているというのも納得だ。

 担当の講師からは、「もっとラインどりはこうしたほうがいい」「ブレーキポイントはもっと手前ですね」「舵角が多いのでもう少し控えめでもいいですね」と、各セクションで丁寧な解説をしてくれたのが印象的であった。もちろんマンツーマンなので、「もっとこうしたい!」といったドライバーそれぞれが抱える細かい要望にも答えてくれる

 そう、この「Bridgestone eMotorsport Institute」ではよくあるシュミレーション施設のようにただクルマに乗るだけでなく、ちゃんと講師がいるの点が最大のポイントだ。それも講師陣が「さすがブリヂストン!」と言わんばかりに超豪華。

 講師はiRacingレーティングで日本最上位記録を持つほか、アジア人で唯一「Williams Esports」に所属、eモータースポーツのプロシリーズ「SUZUKA E-SPORTS CHALLENGE RACE(SeCR)」の初代シリーズチャンピオンを獲得し、現在スーパー耐久ST5クラスで活躍中という武藤壮汰選手。

 また、スーパーGTのGT300クラスにANEST IWATA Racingより出走するイゴール・フラガ(イゴール・大村・フラガ)選手と古谷悠河選手、同じくANEST IWATA Racingより女性ドライバーとして2012年以来となるスーパーGTへの出走で、史上初の決勝レース完走を果たした小山美姫選手(今回は欠席)といった人たちが担当する(レーススケジュールなどによって都度変更あり)。また、講師陣も今後増やす方針とのことだ。

 武藤選手は「こういったシミュレーターでは、安全に走りながら自身とのタイムを競えて、更新時は達成感も味わえるのが魅力ですね」と語る。イゴール選手は、「子どもの頃から乗っていたレーシングカートにこのシミュレーターはかなり近い挙動をしますね。多くの人に触れてもらいたいです」と期待を声にしてくれた。

 古谷選手は、「僕はカートからステップアップしていまスーパーGTなどを走っていますが、実際、家ではシミュレーターで日々特訓しています。確実に効果があるので、皆さんのドライビングスキル向上の手助けをしたいです」と語った。

 ちなみに。このシミュレーターを使った訓練はもともと社内で試験的に行われた企画なんだそう。しかし、実際にこれで経験を積んでモータースポーツに参戦している社員が出てきたという事情から、「もっとシミュレーターを通してモータースポーツ活動を広げよう!」ということに至ったとのことだ。

 気になる詳細だが、「Bridgestone eMotorsport Institute」での1レッスンあたり、時間は約70分となっており、1日に6レッスン実施。1レッスンに最大4名が参加可能という構成だ。営業時間は10:00~19:00(予定)としており、受講料:1万円(税込)/回、受講カルテ(シミュレータースキル診断で1年毎に更新、初回のみ必要):1万5000円(税込)と、なかなかにリーズナブルなのが嬉しい。

 同じよう内容をサーキットで試そうとすると、講師のレッスン代も含めれば、とても倍の額程度では済まない内容だ。サービスは7月よりスタートしており、申し込みは専用ページより行う。

 今年、ブリヂストンはモータースポーツに参戦して60年目を迎えるという節目の年であった。今後のブリヂストンのモータースポーツ活動から目が離せない。


WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

編集者

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