【試乗】ルノー・アルカナE-TECHではるばる500km先の日本のベルサイユ宮殿へ! 驚きの燃費と快適性にロングランが苦にならない (2/2ページ)

アルカナE-TECHエンジニアードは実用的モデルの最適解

 6〜7時間を予定するドライブでは、いつ、どこで、何を食べるかを考えるのも楽しみのひとつだ。朝食は、SA/PAご飯からネオパーサ岡崎の親子丼(伊藤和四五郎商店)をチョイス。トロトロの卵と噛み応えも旨味も楽しめる名古屋コーチン(鳥肉)に優しいお出汁の味が朝ご飯でもピッタリだった。

 また、個人的には湾岸長島PAへの寄り道もマスト。お目当ては「安永餅」。少し焼かれた表面の薄いお餅に甘さ控えめの餡子が入り柔らかくてもちもちで美味しい。残る180kmほどのドライブも甘味とコーヒーの補給でますますヤル気満々になった。

 京都、大阪のあたりをかすめながら走ると神戸が近づいてくる。運良く渋滞に遭わず、前車追従タイプのクルーズコントロール=ACC(アダプティブクルーズコントロール)のお世話になることもなく走行は続いたが、せっかくなのでちょっと使ってみた。レーンセンタリングアシスト(車線中央維持支援)も備わるルノーの運転支援システムは、速度をセットすればハンドルを軽く握っているだけでクルーズ走行を叶えてくれる。速度などの交通標識も認識、表示してくれる。

 神戸に向かうとご紹介しつつ、最初の目的地はフランスパンが有名な芦屋の「ビゴの店」本店。いまでこそ鎌倉や東京ドームシティ(文京区)にも店舗を構える有名店なのだけれど、わざわざ兵庫まで来たのなら、本店でフランスパンを買わない手はない。

 創業者のビゴ・フィリップさんは日本でフランスパンを広め、ブームのきっかけを作ったという方。「ビゴの店」はパリの街角にもありそうなブーランジェリーで、初めて訪れてもどこか懐かしく、パンを焼くににおいとともにまた異国情緒を感じさせてくれた。

 焼きたてのパンを持って六甲山、芦有ドライブウエイで「東六甲展望台」へ。道中、せっかくだからアルカナのドライブモードを「スポーツ」に変更。登坂路+コーナーが続くルートでは瞬発力と俊敏性に優れるこのモードがピッタリだった。

 先ほどまで乗り心地の良さが印象的だったサスペンションは、しなやかな伸縮性を武器に、運動性能の高さを活かす走りでSUVであることを忘れさせてくれる。サポート性に優れるシートと広く高め(着座位置)の視界でコーナーも走りやすい。ここまでの高速走行や一般道走行に加え、最後にワインディングを走ってみて、あらためてアルカナのバランスの良さが実用的モデルとして最適解と思えた瞬間でもあった。

 翌日は最終目的地である神戸のベルサイユ宮殿こと「須磨離宮公園」に向かった。そこはまるでベルサイユ宮殿だった。全体を把握するのが困難な23ヘクタールの須磨離宮公園のなかに、樹林に囲まれたなんとも贅沢な広さの噴水広場がある。中央には水が張られた滑走路のような池が縦に伸び、10本の噴水が湧き上がっていた。その両サイドには左右対称の花壇があり、180種、4000株のバラが植えられている。この庭園が、ベルサイユ宮殿の庭園をモデルに造られているという。

 確かに広さ、噴水、バラの構成はなんとも贅沢。季節によって開花時期が異なるこちらのバラのハイシーズンは春から初夏だそうで、今回は一面がバラの花咲く庭園とはいかなかったものの、そこにアルカナがある風景は凜々しくもあり美しくもあった。ここまで走ってきて良かったと思える瞬間の1シーンになった。

 また、バラ園のバラは日本の皇室や王侯貴族、芸術家などの名を冠した品種が集められ、バラに詳しくない私でも花ぶりと名前を照らし合わせて眺め、香りを楽しむことができた。高台の白亜の宮殿風のレストラン「GARDEN PARTAGE」ではカフェやランチがいただける。

 レストランの大きなガラス窓からは庭園をはじめ遠くに大阪湾も臨めた。神戸は海も山も近く、三宮や元町のようなショッピングエリアも充実。アルカナはどんなシーンでも映え、どんなシーンでもスマートに走る。横浜も良いけれど、やはり神戸まで走って眺めるアルカナの美しさと凜々しさは、達成感のおかげもあってより魅力的に映った。

 東京から神戸周辺を走った2日間、乗り心地もロングドライブに向いていることがわかったアルカナE-TECHエンジニアード。高速の実燃費は22.8km/Lと、偶然にもカタログに記載されるWLTCモード燃費とまったく同じ数値を叩き出した。街なか&六甲山まで足を伸した後でも18km/L前後をキープしていた。3人乗車であることや走行内容を振り返えれば十分に満足できるのではないだろうか。

 フランス車ならではデザインセンスとパッケージング、そしてルノーらしい俊敏な走りを実現しているアルカナは、比較的手の届きやすい価格でありながら、輸入車フリークはもちろんのこと、国産から乗り換えたユーザーにも新たなカーライフを提供してくれることは間違いない。そんなことを強く感じたロングドライブだった。


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