この記事をまとめると
■かつては必須だった「エンジンの慣らし」は現代のクルマでも必要か
■エンジン回転数を上げない制御をするATであれば普通に走るだけで慣らしになる
■慣らしの効果は1万kmを超えたあたりから実感できることが多い
現代のクルマでも少なくとも慣らしをすることに「マイナス」はない
かつて新車を購入したときには、機械の各部をなじませるような「慣らし運転」をすることが求められた。だいたい1000kmを走るまではエンジン回転を上げずに走り、最初の1カ月、もしくは1000kmを目安にエンジンオイルを交換するというのが慣らし運転の基本的なアプローチだった。
慣らし運転をするかしないか、また慣らしの上手下手によって、クルマの性能が変わるという見方さえあった。
一方で、機械精度が上がった現在のクルマにおいては、「慣らし運転は不要」という話もある。とくにエンジンの慣らしについては、かつてほど重視されていないという印象が強い。
結論からいえば、どんなに精度が上がったといっても、機械をなじませるという意味では、サスペンションからエンジン、モーターまですべての領域において慣らしを意識した運転がマイナスになるということは考えづらい。とはいえ、各部の工作精度が上がったことで20世紀のように神経質な慣らし運転をする必要もないといえるだろう。
とくに国産車についていえば、現在のクルマではエンジンの慣らし運転を意識する必要はないといえる。冒頭でも触れたように、エンジンの慣らし運転については、初期はエンジン回転数を上げずに、低回転をキープすることが目安のひとつとなるが、いまどきのクルマでは、よほど意識しないかぎり、エンジンを高回転まで使うようなことはほとんどないからだ。
なぜなら、多くの国産車においてCVTや多段式ATが採用されており、エコ性能を考慮しているためにエンジン回転を上げない制御になっているからだ。そのため、流れに乗って走っているぶんには自然と慣らし運転の領域で走ることになる。
もちろん、国産車でいえば超少数派のMT車については早めにシフトアップをしたり、アクセル操作についても配慮したりと、まっとうな慣らし運転をするのにはドライバーが意識すべきことは多いのだが、とくにCVT車については無茶な加速はせず、流れに任せるという意識で運転していれば、ナチュラルに慣らし運転に近い操作になることが多いはずだ。
逆にいうと、慣らし運転の時期が終わり、エンジンのフルパフォーマンスを味わえるようになっても、よほど意識しないと低回転域を使い続けてしまうことになる。