付属セキュリティだけでなく機械式ロックなどの併用を
GDVは地域別の盗難件数も発表していて、それによればドイツ最大級の都市「ベルリン」がダントツ! 総数のおよそ4分の1が当地で発生しており、発生件数の少ないミュンヘンなどに比べたら3倍というペースです。ベルリンは大都会であるがゆえにさまざまな人々が暮らすわけで、なかにはギャング半グレなどの物騒な連中も少なくないのでしょう。
むろん、さまざまな国から流れ込んでくる移民も多いわけですから、クルマ泥棒だって潜んでいないとは言い切れません。
訪れたことのある方ならイメージできるでしょうが、ベルリンは新しく造成された地区と、戦前の趣を残す地区のコントラストがはっきりしていて、古い街区はやっぱりヤバそう。少なくともSUVで乗り入れるのは遠慮するのが吉かと。
また、盗難データで興味深いのは自動車部品の盗難も増加しているところでしょう。車載コンピュータ、ステアリングホイール、さらにはエアバッグなんてパーツがリストに載っているのですが、これらは中古車パーツの故買市場が充実しているドイツならでは。
要するに中古パーツの需要が高く、扱う業者も星の数ほど存在しているので、盗んだパーツでもわりとさばきやすい環境というわけ。ドイツのクルマユーザーは、たいていの修理を自らこなす傾向だそうですから、知らないうちに盗難パーツを使ってた、なんてケースもあるのではないでしょうか。
さらに、ドイツの盗難事案は「盗難でなく横領」というケースが大部分を占めるのが大きな特徴です。クルマの盗難といえば、泥棒が海外に運び出したり、解体してパーツを捌いたりをイメージしがち。ですが、GDVによると「知人から借りたクルマ、レンタカー、リース車両などが正当な持ち主に返却されない」ケースが非常に多いそう。勤勉実直がウリのドイツ人なのに、ちょっとしたショックを覚える方もいるのではないでしょうか。
なお、400億円も損失をだした保険協会ですから、盗難の防止についても声を張り上げています。いわく「クルマは盗まれやすいものと心得、付属のセキュリティだけに頼ることなく、機械式ロックや追加の電子セキュリティなど対抗措置をとるべき」とのこと。
国は違えど、ごく当たり前のことばかり。ですが、ドイツの窮状を他山の石とすることなく、くれぐれもクルマ泥棒にはご注意ください!