この記事をまとめると
■不要になったスタッドレスタイヤをどうすれば手軽にリーズナブルに処分できるのかを解説
■そもそもタイヤは「適正処理困難物」に分類されるため自治体のゴミ収集に出すことはできない
■タイヤとして使えるか使えないかで処分方法も異なる
タイヤを不法投棄すると罪に問われる
年の瀬が迫った12月、世の中はもう衣替えを済ませているころでしょう。雪が降る地域の人たちや、仕事で雪の降る地域を走る人、あるいはレジャーで雪山に向かうことが多い人たちなどは、クルマの冬支度も行う時期ですね。
その一方で、雪の降らない地域に転勤した場合や雪道を通らなくなった場合、または雪山のレジャーに行かなくなったというような場合は、それまで使っていたスタッドレスタイヤが不要になってしまいます。
そうなってしまった場合、使わなくなったスタッドレスタイヤはどうしているでしょうか?
そのまま持っていれば、稀にある降雪の際にもクルマ移動を諦めないで済むと思って保管しようと考える人が多いかと思いますが、その際は保管場所と方法が問題になるでしょう。マンション住みなら場所もないでしょうし、ずっと雨ざらしにしておくとどんどん劣化が進んで使い物にならなくなってしまう可能性もあります。いまは保管してくれるサービスもありますが、たまにしかない機会のために費用がかかるのももったいない……、ということで、結果的に処分をするのが得策、という判断になるケースが少なくないでしょう。
そんなとき、どうすればいちばん手軽に、あるいはリーズナブルに処分できるのか? 個々ではその方策について考えてみましょう。
■直面するとかなり面倒なタイヤの処分
クルマに長年乗っていればタイヤ交換をする機会はそれなりに経験していることと思いますが、タイヤを処分した経験がある人はけっこう少数なのではないでしょうか。
ここで題材にしているように、スタッドレスタイヤなどのように、普段使いのタイヤとは別にもう1セット用意している場合で、それが不要になったときに初めて「処分」を考えることになるでしょう。そしてそのときに立ちふさがるのが、「タイヤは自治体のゴミ収集に出すことはできない」という壁なのです。
普通に生活しているレベルの考えでは、大きくて重いものだから粗大ゴミで少し費用をかけて処分できると考えがちですが、タイヤの場合は、通常の収集の範囲から外れた「適正処理困難物」という扱いになり、集積所には置けません。
ちなみにこれを読んでいる読者さんたちにはいないと思いますが、ひと気のない空き地などに「不法投棄」するのは犯罪です。検挙されると5年以下の懲役または1000万円以下の罰金という重い刑が科せらてしまいます。
■なぜタイヤは簡単に廃棄できないの?
かなり昔は、専門業者などから収集されたタイヤは埋め立て地に集めて埋められていたようですが、タイヤは自然分解されないことから徐々に埋め立てする量を減らす政策が採られ、いまは数パーセントにまで減っているそうです。
では燃やせばいいかというとそうではなく、通常のゴミを焼却する自治体の焼却炉で燃やすと、その燃焼する温度の関係などから燃焼によりダイオキシンなどの有害物質が発生するため、公害の原因になるので燃やすこともできないのです。
■回収されたタイヤはどうなるの?
では、回収されたタイヤはどうなるのでしょう? 全体で言うと、いまでは90%以上の廃タイヤがリサイクルされ、何らかのカタチで利用されているようです。
たとえばその6割は燃料として活用されています。タイヤは細かくチップ状に粉砕し燃焼しやすい状態にしたうえで、それを廃タイヤ専用のボイラーで燃やすと、工業の用途には十分な熱量が発生させられるうえに、石炭よりも有害ガスが少なくできるそうです。
また、普及レンジのサイズで状態が良いものについては「リサイクル(再生)タイヤ」として生まれ変わります。山が磨り減ったトレッド面を削ってならしたうえで、上から新たにトレッド部を新造して作られます。
または、割合は多くはありませんが、細かくチップ状に粉砕されて床面のクッション材に使われたり、公園に埋められたり、船付き場のクッションになったりと、それなりにいろんな場所で活用されているのを見ることができます。