13年前のクルマといまのクルマの環境性能はほぼ変わらないはず
もうひとつの旧車増税の対象となっている自動車重量税は、一般に継続車検のタイミングで納める税金。業者に車検を依頼すると、法定費用として車検コストのなかに含まれてしまうので、増税されている印象は薄いかもしれないが、こちらも13年を経過すると重課対象となっている。さらに、18年を経過するともっと重課されるという2段階での旧車増税なので、より「たちが悪い」重課となっているのだ。
重量税は500kg刻みでの課税となるが、たとえばAE86はカタログスペックが980kgなので、500kg超1000kg以下の自動車重量税が課される。具体的には、そもそもの税額は1万6400円だが、13年を超えた段階で2万2800円となり、18年を経過すると2万5200円となる。この重課割合を計算すると、13年超で4割増し、18年超で5割増しといったところだ。
そもそも自動車重量税は、重いクルマほど道路への負担が大きいことから、道路の維持管理を受益者負担として課税されているというイメージが強い。そうであれば、古くなろうとライトウエイトスポーツカーが路面に与える負担は小さいはずなので重課されていくのは納得できないと考えるオーナーも少なくないはずだ。
自動車税の旧車増税にしても、当初は環境負荷の大きなクルマ(燃費が悪く、排ガスが汚い)を排除するための政策と説明されていたような印象もあるが、いまから13年前のクルマといえば、環境性能については現代のクルマと大差ないレベルだった。もはや環境負荷というお題目での重課は納得できない。
旧車増税のはじまりを振り返れば、2001年のエコカー減税とのバーターとして生まれてきたといえる。いわゆる租税公課における「アメとムチ」だ。実際、いまでもハイブリッドカーについては旧車増税の対象外となっているのは、エコカーを普及させるという政策を税制によって進めようとした名残りといえるだろう。
悲しいのは「アメ」を享受できるドライバーと、「ムチ」で打たれるユーザーが別人のケースが多いということだ。自動車諸税の負担が大きいのは国民として反対すべき問題なのだが、エコカーを購入することで減税メリットを受けている層には、そうした主張は届きづらい。自動車諸税に対するドライバーの意識を分断してしまっていることも「旧車増税」という制度の悪質な部分といえるのではないだろうか。