たとえ中古価格が安価だとしてもフェラーリなのは変わりない
そして、17年にも及ぶ長寿モデルとなった365GT/4 2+2系の後継車として、1990年代の2+2として、フェラーリが1992年にデビューさせたのが「456GT」だ。
かつてのデイトナを思わせるピニンファリーナによるエクステリアデザインはやはり美しく、同時に運動性能を重視するために全長を4730mmまでダウンサイジングしていることは、あまり知られてないところ。それはまさに機能美と呼ぶに相応しい造形にほかならないのである。
エンジンは、トルクフルな5474ccのV型12気筒で最高出力は442馬力。1996年にはAT仕様の「456GTA」も誕生した。
さらに、デビューから6年後の1998年にはマイナーチェンジ版となる「456M GT/GTA」を発表。ボディのライン構成はよりシンプルなものとなり、大人のためのラグジュアリーな高級2+2クーペとして高い支持を得た。その魅力はもちろんいまでも変わることはない。
456シリーズの事実上の後継車となる「612スカリエッティ」もまた、人によってその評価が大きくわかれる一台だが、個人的にはかのバーグマン・クーペのモチーフを採り入れたデザインにはとてもポジティブな考えを持っている。
ならばそのさらに後継車として登場した「FF」はどうか。2011年から2016年にかけて生産され、のちに「GTC4ルッソ」にマイナーチェンジされるシューティングブレークスタイルのFF。4RMと呼ばれるAWDシステムを導入するなど、技術的な話題が豊富であること、そして何より2+2ではなく4シーターとして十分な居住空間が得られていることが、このFFの大きな特長だ。
これ以上に実用性の高いフェラーリがかつて、そして現在においても存在しただろうか。FFの存在価値はいまも変わらない。
8気筒ミッドシップの「モンディアール」シリーズを含め、なぜフェラーリの2+2モデルは不人気のひと言で評価されてしまうのか。メンテナンスのためにそれなりの維持費がかかるのは、同年代の2シーター車と大きく変わることはないはず。
人とは違うフォーマルなテイストのフェラーリに乗りたければ、これらのモデルをターゲットにしてみるのも悪くはないのかもしれない。