フラッグシップミニバンであることがよくわかるシート
そして、数値だけで測れないのがシートのかけ心地。これはプレミアムクレードルシートの延長にある一部改良型オデッセイのほうが、さすがにひとクラス上の快適度がある。シート1脚のコストのかけ方が違うのだ。
オデッセイの”3列目席床下格納式”のラゲッジルームはフロア地上高515mm、3列目席使用時のフロア奥行550mm。3列目席”床下”格納時の奥行1210mm(2列目席後端時)。天井高最小1120mm……となっている。
同じく”3列目席床下格納式”となるステップワゴンは、フロア地上高530mm、3列目席使用時のフロア奥行420mm。幅1200mm。3列目席床下格納時の奥行1170mm(2列目席後端時)。天井高最小1470mm。
ここで、ステップワゴンのほうが、ラゲッジルームの天井の高さが圧倒する……と思いがちだが、通常、そこまで高い荷物を積むことはないだろうし、むしろラゲッジルームの使い勝手としては、奥行と幅が命。とすれば、どちらも掘りごたつ的ラゲッジルームだが、オデッセイのほうが荷物の積みこみやすさではやや優位ということになるはずだ。
と、ホンダのオデッセイとステップワゴンの室内空間、ラゲッジルームの寸法を比較してきたが、やはりクルマは走るもの。一部改良モデルのオデッセイがどんな走りを見せてくれるのか? 現時点では試乗ができないタイミングのため、「ハードウエアや走行性能は基本的に2020年末にビッグチェンジを行った日本仕様のアブソルートと同じ」という開発陣の説明からすれば、以前の印象と大きく変わらないと推測。そこで2020年末のビッグチェンジ後に行った日本仕様を試乗したときの印象を、ここで紹介したい。
※2021年撮影
以下、当時のリポートの抜粋である。
「インテリアではインパネ、メーター、シート表皮を一新。質感をさらに高めているのが特徴だ。装備面でも光が流れるシーケンシャルターンランプ、パワーテールゲート、ジェスチャーでスライドドアが開閉するパワースライドドア機構、その予約ドアロック機能なども追加されている」。
※2021年撮影
「ビッグマイナーチェンジが施された新型オデッセイの走りの質は、国産ミニバン最上級と言っていい。5代目で初めて両側スライドドアを実現したオデッセイだが、2代目以降のアブソルート、とくに低全高型となった3代目からはスポーツミニバンとしてのキャラクターが強く、しかしそれを両側スライドドアミニバンとなっても継承しているところが、なるほど、ホンダ車らしさ」。
「ただ、5代目のデビュー当初のアブソルートは乗り心地がハードすぎて、ライバルメーカーのミニバン開発担当者から”ミニバンの皮をかぶったスポーティカー”という言葉が出たほどで、走りに特化しすぎていた」。
※2021年撮影
「が、後期、とくに2020年末のビッグチェンジ以降のアブソルートはスポーティな操縦性、ミニバンとは思えないフットワークテイストはそのままに、乗り心地を改善。いまや家族からのブーイングなど出ないであろう乗り心地(決して柔らかくはないが)、完成度を誇っている」。
「いまはボックス型ミニバンが幅を利かせている時代だが、オデッセイ・アブソルートは走り好きのドライバーはもちろん、同乗者も納得できる、極めて走りの満足度が高いミニバンであることは間違いない」。
今回復活したオデッセイは、5代目最終型のアブソルートがベースになっているのは確かだから、走りについても文句なしの仕上がりのはずである。