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冬はクルマのドアを開けるのが恐怖でしかない! 「バチッ」とくる静電気がどうにかならないか考えてみた (1/2ページ)

冬はクルマのドアを開けるのが恐怖でしかない! 「バチッ」とくる静電気がどうにかならないか考えてみた

この記事をまとめると

■乾燥した季節にクルマに乗ろうとボディに触ると「バチッ」とくるのは静電気が原因

■静電気の「バチッ」は人体に帯電していた電子がクルマに触れることで放電されて起こる

■服や靴の素材にも気を遣い、また静電気除去アイテムなどを利用することで静電気の「バチッ」は抑えられる

突然「バチッ」と訪れる静電気にビックリ

 寒い季節になってくると気になってくるのが「静電気」ですね。クルマに乗ろうとしてドアノブを触るときに、恐る恐る触ったり、熱いものに触れるときのようにサッと瞬間的にタッチしたり、あるいは服の袖を先に触れさせたりして少しでもあの「バチッ」という衝撃を和らげようとしているシーンをよく見かけるようになります。

 実際にカー用品店などに出かけると、この時期には静電気防止グッズの棚ができていたりして、それを見てもアレが苦手だと感じている人が多いんだなということが実感できますね。

 ここでは、ふだん何げに使っている「静電気」という言葉の意味から、静電気が発生する仕組みを知り、そんな静電気の衝撃を少しでも遠ざけたい、というテーマで、静電気を防止するための対策までを話してみようと思います。

■そもそも「静電気」ってなに?

 モノに触れるときに発生する「バチッ」という現象は「静電気」によるもの、というのはほとんどの人が知っていると思います。ではその「静電気」が何なのかを説明できる人はどれだけいるでしょうか?

 文字を見ると「静かな電気」と書きますが、電気は分かるものの、「静か」とはどういうことでしょう?

 言葉の意味合いで言うと、電池やコンセントからの電源のように流れ続けるタイプの電気を「動電気」と言うようで、その逆にただ帯びている状態で留まっていて、放電によって解放されると安定する状態の電気のことを「静電気」と呼びわけているのだということです。

 意味を聞いてもストンと腑に落ちた感じはしませんが、科学用語というのはそういうところがあるので、まあそういうものだと覚えてください。

「動電気」は比較的電圧が低く、電流値が高い性質があるので電気を多く流せますが、「静電気」は電圧が高いわりに電流量は多くないので、(放電のショックの悪印象がありますが)人体が受けるダメージとしては大きくないという傾向があります。

 ちなみに雷は静電気が最大級に発生して放電する現象ですが、雲という広大な範囲で発生するためにエネルギー自体が膨大で、そのぶん電圧が10億ボルトというとんでもない値になるため、ダメージも甚大になるというわけです。

■あの「パチッ」という現象はなぜおこる?

 さてそれでは「静電気」が発生するメカニズムの話をしていきましょう。

「静電気」は別名「摩擦電気」とも呼ばれるように、物質同士が触れ合うとその表面で電子が移動してマイナスまたはプラスに極性が偏った状態になります。電子はマイナスの極性を持っているので、電子が多く移動した先の物質はマイナスに帯電した状態となり、逆に電子が奪われた側の物質はプラスに帯電(電位に差が起きている状態)した状態になります。この電荷が偏った状態を「静電気」と呼ぶのです。

 空気は絶縁体なので電気を流さないため、電荷が偏っていても他の導電物質に触れない限りはそのままの状態で留まっていますが、マイナスまたはプラスに帯電した状態の物質が、逆の帯電状態、あるいはニュートラルな電位状態の物質に接触すると、そこで電子が一気にプラス電荷側に移動していきます。

 それがあの「パチッ」という瞬間放電の現象なのです。

■物質には帯びやすい電荷の特性がある

 物質にはその組成によってプラスかマイナスのどちらかに電荷が偏りやすい性質にわかれます。

 たとえば人間の皮膚はプラスに帯電しやすい性質があり、金属はマイナスに帯電しやすい性質になります。この組み合わせでは逆の電荷同士になるので、接触したときの静電気の放電が起こりやすいということになります。

 ちなみに絶縁体も静電気を発生させます。ゴム風船をセーターにこすりつけて髪に近づけると、フワッと髪が引き寄せられる場面を見たことがある人も多いでしょう。絶縁体は電気を流しにくい性質なので電荷を帯びにくいのですが、摩擦によって電子が物質の表面を介して移動するため、他の物質とこすれ合う状況ではマイナスに帯電します。ただ、放電もしづらいので、「パチッ」と一気に流れるようなことはあまり起こらないようです。

■じつはクルマは帯電していない?

 クルマはタイヤという絶縁素材で接地しているため、溜まった静電気をアースできずに帯電しているというイメージを持っている人も多いと思いますが、じつはそれは間違った解釈だという話があります。

 それはタイヤの黒い色に関係があります。タイヤは耐久性や耐候性を高めるためにカーボンを配合しています。それがあの黒い色の理由です。科学が好きなら当然の知識ですが、カーボンは電気を良く通す素材なので、この成分を伝って電気は地面にアースされているそうなんです。

 そのため、昔はよくクルマの後部に垂れ下げられてていた「アースバンド」といわれるアイテムはあまり効果がなく、徐々に廃れてしまいました。

 つまり、クルマのドアノブで「バチッ」となるのは、自分自身が帯電しているということが原因なんです。

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