結論「いまではほとんど必要なし!」
■水分はサビ意外にもいろいろトラブルの原因になる
旧いクルマの場合はガソリンタンクのサビ問題がいちばん気がかりですが、それ以外でもタンク内の水を放置しておくとトラブルを招くことがあります。
先にも少し触れましたが、水のままエンジンに送られてしまうと、ガソリンの燃焼の妨げになってしまううえにバルブまわりや吸排気の経路に付着するので、そのまま冷えた場合は再度液体となりサビ発生の原因になります。
また、液体の状態で燃料経路に留まってしまった場合、それで冷え込み凍結すると体積が増えることで通路にヒビが入るなどのダメージを負わせてしまう恐れもあります。
これらのトラブルは、「万が一」というくらいの頻度ではあると思いますが、理論上は十分に起こり得ることなので、使い方によっては気をつけたほうがいいかもしれないということだけ覚えておきましょう。
■必要性が低下したのはなぜ?
水抜き剤の必要性が低下してきたいちばんの要因は、燃料タンクの材質がサビないものになってきたということでしょう。いま生産されているクルマのほとんどは、樹脂製の燃料タンクを採用しています。
その理由は、サビに強いということ以外にも、燃費を考える上で重要な軽量化に貢献できますし、入り組んだ場所にもフィットさせられて、スペース効率が高いということも利点として挙げられるでしょう。
こうして樹脂製タンクに置き換わったことでサビに関してはまったく心配が不要になりましたが、前述のような燃料経路や燃焼への不具合発生の可能性はまだ残っているので、水抜き剤の存在意義はまだあるのではないでしょうか?
昔みたいに「水抜き剤、先週入れたばっかりなんだけど、また勧められた」という状況にはもう出会えませんし、なんなら自分から買いに行かないと入手することができない状況ですが、車検のときに余裕があるなら、ついでに導入しておいてもいいのではないかなと思います。
あと、もし水抜き剤を使う場合は、製品に書かれている注意書きをよく読んで適切な量を注入しましょう。そして、できればそのときの水抜き剤を注入した燃料はできるだけ一気に使い切ってしまったほうが、その後で気兼ねなくアクセルを開けられると思います。