この記事をまとめると
■マイナーチェンジで見た目が変わったが前のほうがデザインが良かったモデルを5台紹介
■デザイナーの意図したものがユーザーには受け入れられず変更される場合の車種
■世の中に受け入れてもらうための変化を遂げたデザインのクルマも挙げられた
待望の改良かと思えばなんかこれじゃない感が!?
一般的に、マイナーチェンジは販売力の維持を目的としてモデルサイクルの中間地点で行われます。多くの場合、デザインの変更はごくわずかですが、なかには「これじゃあ本来のデザインが台無し」な変更も見られます。今回は、そんな国産車5台を過去に遡って振り返ってみたいと思います。
日産車はやっぱりカクカクしてないとダメ?
さて、最初は時代を大きく遡って1981年発売の日産スタンザFXからです。80年代を迎え、いよいよFF全盛期を迎えるに当たって、「FFはいま高級車」をキャッチコピーとして登場したミディアムセダン・ハッチで、スタンザとしては2代目に当たります(オースターJX、バイオレットリベルタとの3姉妹)。
左右を大きく絞ってラウンドしたフロントなど、空力を意識した滑らかなボディに大きなキャビンを組み合わせたスタイルは、欧州調の合理的スタイル。ところが、その先進性はユーザーに受け入れられず、わずか2年後には、同時期のブルーバードに準じた四角四面の顔に大変身となったのです。
当時の日産は、サニーやローレルなども合理的で先進的なスタイルでしたが、いずれも似たようなカクカクスタイルへと軌道修正に。ちょっと登場が早すぎたのか、デザイナーの高い志はユーザーに届かなかったようです。
シンプルでベーシックな顔では物足りない?
2台目は、1985年登場の初代ホンダ・トゥデイ。撤退していた軽市場への再参入に当たり、女性をメインターゲットにボンネットバンとして発売されたスタイリッシュミニです。
「ペンタストリーム・シェイプ」と呼ばれるワンモーションフォルムは、素材色のバンパーなど徹底した簡素化が特徴。その象徴が汎用性の高い丸形ランプで、シンプルさと不思議な愛嬌を持ち合わせていましたが、マイナーチェンジではごく一般的な角型に変更されてしまいます。
2代目シティのような顔は確かにある種のスポーティさを感じさせますが、のちに四輪デザインを統括する木越由和さんがほぼ独力で仕上げたシンプルな佇まいは消えてしまったのです。
シャープな目尻が自慢の街の遊撃手
次は、同じく80年代からいすゞのFFジェミニを取り上げます。「街の遊撃手」のコピーでヒット作となった同車はGMとの世界戦略車として企画されましたが、開発はいすゞ主体で行われ、1985年に登場します。
「カプセルシェイプ」と呼ばれる、スラントノーズ+ショートハイデッキのボディはG・ジウジアーロの基本デザインによるもの。張りのある面により、コンパクトながらクオリティを感じさせるスタイルでしたが、2年後のマイナーチェンジでは切れ長のランプなど、おもに顔の表情が一新されます。
装備の充実や、ハンドリング・バイ・ロータスの追加など、販売的には好調でしたが、デザイン的な視点では初期のジウジアーロらしい端正な佇まいは後退したと言えます。もちろん、好き嫌いは別として……。