違法行為だったとしてもそう簡単に検挙できない
「観光ツアーを催行しているというよりは、方面別に乗客を募って白バスを運行しているのではないか?」とは事情通の話。ただ、この光景が本当に白バス営業だとしても、これを取り締まるのは容易ではないとのこと。「まず摘発には、明確な現金の授受を行った現場を押さえる必要があります。しかし、白バス業者がライドシェアアプリのようなものを作り、ウェブ上で募集し、アプリを使ってキャッシュレスで料金決済しているケースが実状です。そのため、現場で料金授受が確認できないので、“友人や家族を乗せている”とか、“無料ボランティア”などと言い訳されると摘発できないそうです」とは前出事情通。
成田空港から東京都心の宿泊先や観光地までインバウンドを運ぶ白バス業者もいるとのことだが、このグループとは異なるグループが新宿駅西口で行っているのではないかと事情通は語ってくれた。取り締まりを強行しようとすると「大使館に電話して外交問題にしてやる!」などとすごまれることも過去にはあったようなので、かなり手を焼いている様子。
すでに、「闇ライドシェア(クルマで移動したい人と、乗用車でそれを請け負う人とをマッチングさせるサービス/日本では現状原則違法)」なども横行しているとの情報もある。
日本ではあらゆる業種で働き手不足が深刻となっており、それはバスやタクシー乗務員でも同じ。正規のバス事業者やタクシー事業者が働き手不足でなかなかインバウンドに向けての手厚いサービスができないなか、その隙間を突くようにいわゆる「闇業者」が入り込み暴利をむさぼっているようなのである。
さらにいえば、このような違法営業が横行すれば、さまざまなトラブルも増えていくことになり(事故発生時の対応など)、ただでさえ働き手不足などにより「おもてなし日本」が崩壊しつつあるなか、日本のイメージのさらなる低下を招きかねない。ある意味グレーゾーンのようなものが拡大しているのならば、非常に残念なことであるし、早急な法整備というものが必要ではないだろうか。
今回目撃したのが白バス行為ならば、必要悪として見逃されているようにも見えるほど、じつに堂々としていた姿を見て不安は募るばかりである。