公道走行不可! 出られるレースもなし! サーキットで楽しむしかない1人乗りフェラーリ「499Pモディフィカータ」は究極の贅沢だった (2/2ページ)

ほぼWECのレーシングカーを運転できる興奮

 パワーユニットは、エンジンマップ等が見直されたリヤミッドに搭載される3リッターのV型6気筒ツインターボエンジンと、フロントアクスルにエレクトリックモーターを組み合わせたもの。最高出力はシステム全体で870馬力に達し、エレクトリックモーターのみでも272馬力を誇り、もちろんここから運動エネルギーの回生も行われる仕組みだ。

 トランスミッションは7速のシーケンシャルタイプ。エンジンとミッションは走行中のストレスの一部を担う構造部品としての役割も担っている。

 ダラーラとの提携によって開発された499Pのシャシーデザインは、ほぼそのままの状態でこの499Pモディフィカータにも受け継がれている。すなわち、その核となるのはカーボンファーバー製のモノコック。サスペンションはプッシュロッド式を採用するが、そのセッティングは独自のものとなる。

 バイワイヤ式のブレーキシステム、フルタイム・アクティブ4WD、そしてプッシュ・トゥ・パスなどの機能に、ピレリ製の専用開発タイヤなど、499Pモディフィカータのエンジニアリングにはさらに多くの見どころがある。

 シングルシーターのコクピットは、まさにレーシングカーの雰囲気そのものといった印象。ドライバーはWECマシンをドライブすることと同じ興奮を、そのコクピットと走りのなかで得ることができることは確実だ。

 フェラーリは2024年から、この499Pモディフィカータを購入したカスタマーのために、「スポルト・プロトティピ・クリエンティ」というプログラムを、コルセ・クリエンティ部門でスタートさせる計画だ。これはかつてのXXプログラムと同様に、世界各国でのオフィシャルイベントにおける、499Pモディフィカータによるオーナーの走行をフルサポートするもの。参考までにこのフルサポート代金やプログラム参加費用を含む499Pモディフィカータの価格は510万ユーロ(約8億1600万円)。

 生産台数に関しては、現在の段階ではごく少数としか発表されていない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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