プレリュードの復活に色めき立つ昭和生まれ! 伝統の名前を蘇らせる裏には巧妙なマーケティング戦略があった (2/2ページ)

昭和世代が話題にすることで若い世代も注目

 ホンダがインテグラやプレリュードという懐かしい名前を使うことで、中高年層の注目度を上げることができるだけでなく、名前に親しみがない世代にも、中高年が話題にしていることやヘリテージをアピールすることによって、歴史があり信頼できるブランドであることを表現できるのは、新興メーカーに対するアドバンテージといえるでしょう。

 新生プレリュードのパワートレインはハイブリッドになると予想されています。思えば、ホンダ初のハイブリッドカー「インサイト」が誕生してから四半世紀近くが経っています。いまさらハイブリッドだからといって新しい名前を与える時代ではありません。

 むしろ、ハイブリッドはコンサバな技術といえます。その点でも懐かしいネーミングを復活させるというのは理にかなった判断といえるのではないでしょうか。

 実際、こうしたブランディングを行っているのはホンダだけではありません。

 すでにトヨタは伝説的な型式名となったAE86に由来する「86(GR86)」をはじめ、「スープラ」も復活させています。海外モデルには「レビン」もあったります。伝説的な名前を蘇らせることは、新車の認知度を高めるのには有効です。「クラウン」を単独の車名でなく、サブブランド的なシリーズ名としたのも同様のブランディングといえるでしょう。

 もっとも、イメージとまったく異なるクルマに伝説的な名前をつけてしまうと認知度は上がったとしてもマイナスイメージも生んでしまうこともあるので、諸刃の剣かもしれません。

 余談ですが、クルマの名前をつける際には商標登録をチェックして、他社が登録していないことを確認する必要があります。逆にいえば、いまは使っていないけれど、過去に自社で商標登録した車名というのは、割合に安心して使うことができるわけです。

 そのため、OEM車を見ていると、「おぉ、懐かしい名前が復活している!」なんてケースもあったりします。たとえばスバル・レックスは、かつてはスズキ・アルトやダイハツ・ミラのライバル的な軽自動車でしたが、いまはコンパクトSUVモデル(ロッキー、ライズの姉妹車)になっていたりするから面白いですね。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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