自動運転化には必要不可欠なシステム
さて、道路走行における電制スロットルのメリットだが、単にスロットルバルブの開閉機能だけに限定するなら、電制スロットルのメリットはそれほどない。だが、これが現在開発が進められている自動運転システムを前提に考えると、交通の流れや道路形状などに応じた加減速、定速走行の動きは、電気的にスロットルバルブの開閉を行う電制方式なくしてその成立はあり得ない。
もちろん、定速走行時における必要最小限の適正なスロットル開度(燃料消費量の適正化=二酸化炭素の排出削減)を得るためにも、電制スロットルは非常に有効なメカニズムとなっている。
なお、電制スロットルの普及期には、メーカーが加速感を向上させるためのチューニング手法(?)として電制スロットルを利用した例もある。ドライバーが操作したアクセルペダルの踏みしろに対し、スロットルバルブを大き目に開くよう設定しておくのである。ドライバーは、自分が意図した加速(アクセルペダルの踏みしろ)に対し、車両がそれ以上の加速を示すことから、優れた加速性能と感じることになるからだ。
現状に照らし合わせれば、ATやABS、車両挙動安定システムなどを効果的に機能させるためには、車両各部の精密なコントロールが必要で、スロットルバルブの開閉動作だけではなく、ほかの部分でも電子制御方式は不可欠な方式となっている。
ちなみに、電流量の調整でモーター回転数を制御するEVでは、アクセルペタル自体の働きが電気スイッチとなっているため、当たり前だが、電制スロットル(スロットルバルブは存在しないが)と同じ意味の働きをしている。