インフォテイメントシステムも充実
インテリアはエクステリアに比べれば、おとなしいイメージを受けた。インパネセンター部では、少々物理スイッチが多いようにも見えるが、タッチスクリーン操作とのすみ分け(空調は物理スイッチ、オーディオはタッチスクリーンなど)ができており、ヒューマンインターフェースも良好であった。
シフト操作はメルセデス・ベンツ車のように、進行方向右側ステアリングコラムにあるレバーで操作するのだが、こちらもすぐに操作に慣れるほど使いやすかった。
足まわりは少し柔らかい印象を受けるが、個人的には好きなフィーリングであった。ちなみに装着タイヤは韓国クムホ製であった。
BEVながら抑制の利いた加速は違和感もなく、「少し速いICE車」とも感じてしまうほど、BEVに慣れていない筆者でも戸惑うことなく運転できる。
コナに限らず、ヒョンデ車は細かいデバイスの採用という面でも注目している。計器盤は大型ディスプレイにデジタル表示されるのだが、二連メーター表示で走行し、ウインカーを出すとウインカーを出したほう(右に出せば右側)のメーター表示部分に右側方の映像が表示されるのはかなり便利(それでも目視確認忘れずに)であった。
センターディスプレイに映し出されたフロントカメラ映像に、矢印などの情報が表示される「ARナビゲーション」はあまりに面白すぎて、ガン見しそうなのを押さえながら運転をした。
また、コナのようなBEVでは、エネルギーマネージメントに関する情報をわかりやすく表示することも大切なのだが、これは大画面ディスプレイにわかりやすく表示されている。日本では「ディスプレイ=テレビ視聴(走行中は見てはいけない)」のようなイメージが定着してしまっているが、あくまでコネクティッドシステムが発達するなか、さまざまな情報を表示するために、車内ディスプレイの大型化などが進んでいる。日系ブランド車全般をみると、コネクティッドシステムに関しても少々苦手なのかなぁとも思ってしまう。
話をヒョンデ車に戻すと、アメリカで見たテレビCMでは、日本車でもお馴染みとなってきた、スマホの「置くだけ充電」が、センターコンソールに立てに差して充電するタイプになっているモデルもあり、スペース効率がいいなあと感じた。また、子どもをサッカー教室に送るシーンでは、車道側のリヤドアを子どもが開けようとしたら、後続車が近づいていたのでドアを開けさせないために再ロック(アメリカでは防犯の意味もあり、車速感応型ドアロックの装着が当たり前であり、停車してPレンジに入れるとドアロックを解除するケースが多い)するようなシステムも紹介されていた。
何が言いたいのかというと、あくまで市販ラインアップベースでいけば、日系ブランドより、ヒョンデのほうがBEVでは先を行っており、しかも日本ではBEVとFCEV(燃料電池車)のみを販売していることに話題が集中してしまうが、本来なら日系ブランド車のお家芸でもあり、積極的に、しかも先んじて採用してもいいような便利なデバイスを、ヒョンデ車では多く採用しているということ。この点についても筆者は驚かされている。
「購買意欲をそそらせる姑息な手段」と思う人もいるかもしれないが、ヒョンデや同じ韓国ブランドの起亜では、「おっ」と言わせる存在感のあるエクステリアをメインに、日本車ではなかなか採用されない便利デバイスの採用などでブランドステイタスを上げてきたのは間違いない。かつては「激安ブランド」ともいわれた起亜だが、いまや南カリフォルニアで自動車業界関係の人と話すと、「起亜は~」とその一挙手一投足に注目が集まっているのである。