この記事をまとめると
■マツダの「ユーノス」チャンネルのフラッグシップとして「ユーノス800」は1993年に登場した
■「十年基準」のテーマで21世紀でも存在感を放つことを目指して生み出された
■1993年のデビューから10年経った2003年に「十年基準」のテーマを実現して終売した
マツダが21世紀のために用意した高級車
1989年にスタートしたマツダ5チャンネル体制。そのなかのユーノスブランドのフラッグシップモデルとして、満を持して1993年10月に送り出されたのがユーノス800だった。
ユーノスブランドで販売されていた100、300、500の最後を飾るモデルとなっており、「十年基準」というテーマのとおり、デビューから10年後の21世紀になっても明確な存在感を放ち続けることを目指して生み出されたものだった。
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それはメカニズムにも表れており、世界初のミラーサイクルエンジンを実用化して搭載。この2.3リッターV6のミラーサイクルエンジンは、一般的なエンジンよりも大幅にエネルギー効率を高めたものとなっており、そこにリショルムコンプレッサーを用いたスーパーチャージャーを組み合わせることで、2.3リッターの排気量ながら220馬力/30.0kg-mという3リッター級の出力と、10・15モードで10.6km/Lと2リッター並みの燃費性能を実現したとうたわれていた(通常の2.5リッターV6 NAエンジンもラインアップ)。
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※写真はマツダ・ミレーニア
また、前輪駆動モデルでありながら新開発のマルチリンクサスペンションを採用しており、快適でしなやかな乗り心地と高い走行安定性を実現。
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※写真はマツダ・ミレーニア
ヨーレイト感応式4WSやABS、トラクションコントロール、両席エアバッグといった安全装備を積極的に採り入れていたほか、アルミボンネットやソーラーベンチレーションシステムなども用意され、力の入れようを感じ取れる意欲作となっていた。
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※写真はマツダ・ミレーニア
スタイルは、ユーノス500をそのまま大きく伸びやかにしたようなスタイリッシュなフォルムとなっており、欧州車のような独特な雰囲気を醸し出していたことも特筆すべきポイントだった。
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そんなユーノス800だが、ご存じのとおりマツダ5チャンネル体制が1996年に終焉を迎えると、正式名称を「マツダ・ユーノス800」として販売を継続。
そして、翌年には北米市場で名乗っていた「ミレーニア」へと改名を行い、1998年には新たにエントリーグレードとして2リッターV6エンジンを搭載するグレードを追加した。
2000年7月にはビッグマイナーチェンジを実施し、当時のファミリーフェイスである5角形グリルを採用するフロントマスクを導入するなど大がかりな変更がなされ、同時にミラーサイクルエンジン搭載車が消滅。2002年10月には排出ガス基準に対応するために2リッターモデルも終売し、2.5リッターのみのラインアップとなった。
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そして1993年のデビューから10年後となる2003年に生産を終了し、十年基準というテーマは果たされることとなったのだった。