日産とBMWは走りで悩みホンダとプジョーとルノーは新しモノ好き
お次は日産にお乗りの方に、BMWをお薦めしましょう。両社に共通するのは、どちらも「良い走りとは何なのか?」とか「どうしたら気持ち良い走りが実現するのか?」とか、四六時中考えていること。
日産の人たちって、それこそ胃に潰瘍ができちゃうくらい考えに考え抜いて、良い走りの実現のために邁進しているとか。スカイラインなんて、そんな悩み……じゃなかった、努力の結晶と言えるでしょう。そもそもセダンの居住性も両立させなければいけないという時点で、スカイラインは良い走りの実現にハンディを背負ったようなもの。
デカくて重いボディ(とくにノーズヘビー!)のスカイラインを単に速く走らせるのならまだ容易なんですが、日産の人たちは「速いだけじゃなく、気持ち良い走り」を追求しているのですから、それはそれは骨の折れる仕事です。
筆者がスカイライン400Rを取材したとき、テストドライバーの方が「1日中、気持ち良い走りのことを考えてます。それこそ寝てるときも夢に出てきます(笑)」と笑ってましたっけ。その方が悩んでいたのは、「思いっきりカッ飛んでいるときだけじゃなく、それこそコンビニまでスカイラインで出かけるときも気持ち良さをお客さまに感じていただくには、どうしたら良いんだろう?」だそうです。
そんな日産の走りへの思いと共通するのが、BMWの理念「駆け抜ける歓び」でしょうか。なにしろBMWも単に「速く走る」だけではなく、日産と同じく「歓び」を追求していますから。また、日産がデカくて重いセダンを走りのスタート地点としたように、BMWもスポーツセダン縛りというハンディキャップを自らに背負わせたことも似ていますね。
なので、スカイラインを乗っていた方は、BMWの5シリーズ……それも「M」モデルならすんなりと乗り換えられるんじゃないかと思います。
そして、ホンダ車オーナーの方は、フランスのプジョーかルノーに乗り換えてもいいんじゃないかと思います。というのも、この3メーカーには(オーナーには?)“新しモノ好き”というスタンスが共通している気がします。
たとえばホンダは、1999年に2シーターのハイブリッドカー「インサイト」を発売。2年前に登場したプリウスに対抗するべく35.0km/Lという世界一の低燃費を実現したんですが、エコカーとスポーツカーを両立させたパッケージングはあまりに斬新過ぎて、世の中には受け入れられませんでした。
また、トールボーイスタイルの元祖ともいうべき初代シティのターボII、通称”ブルドッグ”も、そのスタイリングが新し過ぎて売れ行きはパッとせず……。
そんな失敗作を見ると思い出すのが、プジョー1007です。
プジョー1007はコンパクトカーに自動スライドドアを搭載した画期的なクルマだったのですが、いまでこそスライドタイプのドアの小型車は一般的になりましたが、デビューした2006年当時はかなり斬新でした。
また、“斬新過ぎる”というのであれば、ルノーもそうかもしれません。なにしろ過去にはミニバンのようなボディをしながら、じつはBピラーを持たない2ドアクーペ「アヴァンタイム」という、あとにも先にもこんな奇抜なのは見たことないクルマを発売しているのです。
2001年の試乗会でちょい乗りして感動し、思わず衝動買いしようかと思った筆者でしたが、その斬新さが一般には受け入れられず、このクルマも短命に終わったのでした。
かように、新しモノ好きな3メーカーですし、そのクルマに乗っているオーナーはきっと新しモノ好きのはずですから、乗り換えるのに違和感はないと思いますよ。
そのほか、もともとは大衆車に力を入れていたのにいつしかプレミアムカーを売りにするメーカーになった……という点で、トヨタとフォルクスワーゲンが似通っているかもしれません。皆さんもドライブに出かけたときに、「この国産車メーカーとあの輸入車ブランドって、ちょっと似ているんじゃないの!?」と共通点を探してみてください。なんであれば、各メーカーのクルマ作りの理念や、そのクルマの生い立ちやパッケージングを調べてみても楽しいですよ。