この記事をまとめると
■ラリーでは、すべてのエントラントが「レッキ」というコースの事前チェックに参加する
■事前チェックの際にペースノートなどを各チームが作成する
■ワークスチームなどの一部チームは、路面のμを測るセンサーを装備した車両を導入した
ただのクルマに見えて超ハイテクだった!
WRC第13戦「フォーラムエイト・ラリージャパン」が11月16〜19日、愛知県・岐阜県で開催。今年もトヨタGAZOOレーシングWRT、ヒュンデ・シェル・モビスWRT、Mスポーツ・フォードWRTの3大ワークスが最新Rally1ハイブリッドを武器にハイレベルな戦いを繰り広げていたのだが、彼らマニュファクチャラーチームはレッキの段階から徹底的なデータ収集を行なっていた。
レッキとはスペシャルステージの事前走行のことで、ワークスチームに限らず、すべてのエントラントがレッキに参加し、コースの事前チェックを実施。ペースノートを作成するために、各ステージを2回ずつ走行できるようになっており、フォーラムエイト・ラリージャパンでは、ラリーウィークの月曜日〜水曜日に3日間をかけて行われていた。
レッキに使用されるマシンは競技車両ではなく、レッキ用の車両が使用されており、トヨタGAZOOレーシングWRTはトヨタGRヤリス、ヒョンデ・シェル・モビスWRTはBMW1シリーズ、Mスポーツ・フォードWRTはフォード・フォーカスRSを採用。そして、レッキ時に筆者が「?」と思ったことが、数台ずつとはいえ、各チームのレッキ用車両のフロントバンパーのサイドに怪しげな突起物が装着されていることだった。
レッキ終了後にトヨタGAZOOレーシングWRTのチーム関係者に聞いてみたところ、「路面のμを図るためのセンサーです。レッキ車両もRally1ハイブリッドと同様に競技用ナンバーになっているので、センサーを取り付けることが可能です。すべてのレッキ車両に装着する必要はないので基本的に1台か2台に装着しています」とのことで、レッキの段階から徹底的なデータ収集が行われているようだ。
ちなみに、各ワークスチームのレッキ車両は競技当日も“グラベルクルー”用の車両として活用されているが、すでにレッキ時に路面のμを測定していることからセンサーを外して使用。
このようにワークスチームは事前準備が万全で、それゆえに世界最高峰の戦いを演じることができるのである。