この記事をまとめると
■WRC第13戦「ラリージャパン」では新たに「豊田スタジアムSS」が新設された
■2台が並走して競争する形式は優劣がわかりやすく観客からもドライバーからも好評だった
■ラリージャパンの新名物になる魅力を持っている
ラリージャパンの新名物となったスタジアムでのスーパーSS
WRC第13戦「フォーラムエイト・ラリージャパン」が11月16〜19日、愛知県・岐阜県で開催。17日のデイ2は雨、18日のデイ3は曇りときどき雪、19日のデイ4は曇りのち晴れ……といったように天候が目まぐるしく変化。路面コンディションも刻々と変化したことから、山岳SSは難易度の高いターマックとなり、激しいタイム争いが展開された。
この山岳SSと同様に激しいバトルで数多くのファンの注目を集めていたのが、なんといっても2023年の大会より新設された「豊田スタジアムSS」だと言えるだろう。
同ステージは、文字どおり豊田スタジアムに設けられたステージで、2台同時スタートの“スーパーSS”として設定。同じスタジアムSSでも、アクロポリスラリー・ギリシャの「アテネ・オリンピック・スタジアム」や、かつてラリー・ポルトガルで設定されていた「アルガルベ・スタジアム」と比べるとやや小さいものの、コンパクトながら立体交差のジャンピングスポットを持つアスファルト舗装のステージで、テクニカルなレイアウトとなっていた。
実際、デュアルスタートのスーパーSSは、タイムのみならず、2台の着順による優劣がわかりやすいことから、多くのファンがこのエンターテイメント性の高い一騎打ちのバトルを満喫。
このスーパーSSはドライバーからの評価も高く、トヨタGAZOOレーシングWRJよりGRヤリスで参戦した勝田範彦選手は「走っていても面白いコースでした」と語る。同時に難易度も高く、勝田によれば「グリップしないので難しい」とのことで、勝田はデイ2のSS8でクラッシュを喫し、そのままリタイヤを決断。
また、勝田のチームメイト、眞貝知志も「ジャンプの前にブレーキをかけないといけませんでした」と語るように、SS1のジャンプの着地でマシンを破損し、デイリタイヤを決断している。マシンを修復した眞貝は、デイ2から再出走を果たすと安定した走りを披露し、ナショナルクラスで勝利を飾ったが、簡易舗装の豊田スタジアムSSはグリップレベルが低く、わずか2.1kmのショートステージながら、時として勝敗をわける存在となっていた。
これまで愛知・岐阜県を舞台にしたラリージャパンでは熊野神社と湖で有名な「三河湖SS」や民家を通り抜ける「額田の森SS」、トンネルが印象的な「伊勢神トンネルSS」が名物SSとして定着してきたが、2023年の大会に新設された豊田スタジアムSSもシンボル的な存在として新名物に加わることだろう。