普及しないのはやっぱりコストの面が大きい
さて、車両(車体)の軽量化に対して大きな効果のあるアルミボディだが、量産車のメカニズムとして広く普及しないのには大きな理由がある。
なんといっても製造コストが高価なこと。そして、成形がむずかしいこと。また、ヘコミやパネル変形の修復作業が難しい(手間がかかる)ことなどが挙げられる。鉄の比重7.8に対しアルミの比重は2.7で重量比に置き換えればアルミは鉄の35%と大きな優位性を持っている。
もちろん、アルミ板材が鉄板材と同等の強度を得るには肉厚を上げなければならず、製品としての重量比較は比重比較のように極端な関係にはならないが、それでも軽量化に関するアルミ材の優位性は変わらない。
実際、ある程度車両コストの増大が容認されるスポーツカーや高級車では、アルミボディ(ホンダNSX、ジャガーXJなど)を積極的に採用したモデルもあり、軽量化の視点で目に見える効果が得られている。ただ、軽量化という視点では、鉄板材でも超高張力鋼板、超々高張力鋼板が実用化され、これまでの鉄板材より軽量に仕上げることが可能となっているため、アルミ材が絶対的に優れているという状況ではなくなってきた。
やはり、自動車に関してアルミ材の使用で大きな問題となるのは、製造、修復も含めてコストの一点に尽きると言ってよいだろう。