BEVで気になる下取り価格! まだまだ「中古電気自動車」の価値は業界的にも未知数 (2/2ページ)

BEVが普及してきてもしばらくICE車の価値は下がらない

 一方でその再販価値についても興味深い話を聞いている。ICE(内燃機関)車では、内外装の状態(傷や汚れはないか)や、走行距離などが重視されるが、BEVでは駆動用電池のコンディションがそのクルマの価値をもっとも左右するとのことであった。すでにHEV(ハイブリッド車)ではその傾向が出ているようにも見える。

 ハイブリッド専売車で人気の高いプリウスは、中古車でも人気が高いのだが、「一般的なガソリン車では走行距離が少なければ評価も高くなります。ただプリウスのようなHEVでは、数十万kmという過走行車は別となりますが、走行距離が少なすぎると、あまり充放電が繰り返されていないことにもなるので、電池コンディションに不安が残るとされて、必ずしも好条件となるわけでもなく、かえって一定走行距離以上のほうがいいのではないかと、下取りや買取査定時に悩むこともあると聞いたことがあります。“走行距離が少なすぎず多すぎず”という微妙なレベルでの判断に現場は苦慮しているようです」とは事情通。

トヨタ・プリウス(4代目)の走行写真

 また、BEVの中古車が増えるとICEの中古車価格が下がるのではないかとの話もあるが、それはICE、HEV、BEV、FCEVなどを垂直に見ているための話ともいえる。つまり「ICEの次はHEV、そしてその次はBEV」という考え方である。しかし、日本では2035年あたりから純粋なICEの新車だけが販売禁止となる予定。純粋なICEの新車を買えなくなるまで10年以上あるわけだし、2035年以降も乗ってはいけないというわけではない。

トヨタGRカローラの走行写真

 そうなると、極端に価格が下がることはあまり想像できない。ICEの中古車はアフリカ諸国などへの輸出も活発なことからも、まだまだ有望と言っていいだろう。HEVはいまも輸出規制が強化されているが、ロシアでは日本からの中古HEVの人気が高いし、モンゴルやスリランカなど一部新興国などでも人気が高い。

 すでに日本の中古車相場は海外バイヤーが支えているといってもいい状況になっており、世界レベルで見れば、ICEやHEV中古車の引き合いはこれからも目立って減ることはないだろうから、BEVが台頭してICEやHEVの価値が急落するということはないものと考えている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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