「FFって何だよ?」時代に颯爽と登場したプリンス魂の宿る「日産チェリー」はやっぱり偉大だった (2/2ページ)

レースでも活躍したスポーツモデルも登場

■「チェリー」のイメージをさらに押し上げた「X-1R」

 初代「チェリー」で忘れてはならないのは、モデルの後期に販売された「X-1R」というグレードです。

 それに先行して当時かなりアバンギャルドなデザインと評されたクーペモデルが登場しました。ルーフのラインが水平に後方に伸びて下がっていく、ワゴンを思わせる独特なリヤのボリュームのあるスタイリングが、それまでの国産車には無い個性を主張。すぐさま当時の若者の心を捉えスマッシュヒットました。

チェリーX1R

 余談ですが、そのクーペのテールに配置された丸目2灯のテールランプは、その後にほかの車種のテールに流用されてイメージを変えるという手法が流行しました。通称「チェリー・テール」と呼ばれています。

 レースにおいてもそのクーペボディが採用されるようになり、よりスポーツイメージが強く確立されました。

日産チェリー クーペのレースモデル

 そのイメージをまた市販車にフィードバックして発売されたのが「X1-R」グレードです。排気量が大きい1400ccの「A14型」エンジンが搭載されたトップグレードの「X-1」をベースにして、レースイメージのオーバーフェンダーが装着されたホットなモデルです。

チェリーX1R

 旧車好きの人でも「チェリー」というとこの「X1-R」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。この「X1-R」の登場でさらに「チェリー」の人気が高まり、販売台数の伸びに貢献したようです。

■今の旧車ブームのなかの「チェリー」

 短い4年のモデルイヤーの間で22万台ほどを売り上げヒットした初代「チェリー」ですが、いま現在残っている台数はかなり少なくなってしまったようで、旧車のイベントでも見かけるのは、多くても数台という割合です。

日産チェリーX1(初代)のフロントスタイリング

 市場価格はほかの人気車種ほどはハネ上がっていないようですが、台数自体が少ないために販売している個体に出逢えることが稀という状況で、購入することが難しい車種にあたるでしょう。

 もし気になって購入を検討したいという人がいたら、長い目でじっくり探す構えが吉かもしれません。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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