使用状況やコストなどから条件に合うものを選びたい
■非金属(ゴム、ウレタンなど)製チェーン
値段 ★☆☆☆☆
雪道の走破性 ★★★★☆
装着のしやすさ ★★★☆☆
耐久性・強度 ★★★★☆
金属製チェーンのデメリットを解消する目的で作られたのが非金属製のチェーン。ゴムやウレタンなどの柔らかい素材を使い、金属製チェーンのロードノイズを抑えることで使用時のストレスを減少させました。
同時に、耐久性の面でも金属製チェーンを上まわっています。ゴムやウレタンは金属よりも柔らかいので強度が心配になりますが、タイヤ自体もゴムで出来ていますので同様の強度があります。きちんと作られた製品は構造的な強さも考えて設計されていますので、ドライ路面で急ブレーキをするなどの荒い運転をしない限りはチェーンが千切れたりすることはないでしょう。
また、耐摩耗性も金属製チェーンより優れています。金属製チェーンは路面も削りながら自身も削れていきますが、ゴムやウレタン製のものはタイヤと同じようにたわんで密着するので減りが抑えられます。とはいえ、接地面の少なさなどから、タイヤ本体よりはるかに減るので、無精せずに雪道を脱したら外すようにしたいですね。
そしてデメリットについて。非金属製チェーンのデメリットは価格が高いことです。メーカーによっては金属製チェーンの倍以上するものもあるようです。耐久性が高いことを考えて条件に合うほうを選びましょう。
■布製のチェーン
値段 ★★☆☆☆
雪道の走破性 ★★★★☆
装着のしやすさ ★★★★★
耐久性・強度 ★★☆☆☆
数年前に登場して以来、その意外な材質と圧倒的な装着のしやすさで話題に上がることが増えてきた布製のチェーン。近年では動画配信でも取り上げられることが多く、身近にも使用者がぽつぽつと現れてきた印象です。
まず気になるのが「走って大丈夫なの?」という見た目の印象でしょう。製品名に「ソック(靴下の単数形)」を使ったものが多いように、ゴムを広げてタイヤにかぶせるだけというシンプルすぎる構造なので、「なかでタイヤが滑らないの?」とか「雪や氷にグリップするとは思えない」という初見の感想も耳にしますが、じつはこの布製のチェーン、その印象に反してグリップ性能はかなり優秀なようなんです。
グリップする仕組みを簡単に説明すると、強化繊維で編まれた本体面に、グリップのために編み込まれた繊維が毛羽立ち状に生えていて、それが雪や氷に対して食い込み張り付くことでグリップを生み出しているそうです。また、布状に編み込まれた部分で氷の表面の水分を吸収することで氷の表面に直接コンタクトできるため、アイスバーンでもグリップを発揮するようです。
実際に使用者のインプレッションを聞くと、スタッドレスと同等かそれ以上のグリップ力を発揮してくれるとのこと。筆者はまだ未経験ですが、価格が思ったよりもリーズナブルなので今シーズンは試してみたいですね。
そう、メリットのもうひとつが価格の安さです。2枚1セットで1万円以下で購入できる製品もあり、まだ新しいジャンルなので吟味は必要かなと思いますが、ちょっと試してみたいという気になる価格です。
■速度の制限はどれくらい?
クルマ用のチェーンというのはあくまでもスタック防止のための緊急用のアイテムなので、高い速度での走行は考慮されていません。目安の速度を大幅に超えて走行すると一気に寿命が縮まり、最悪の場合は強度限界を超えて弾け飛んでしまい、周囲に迷惑を及ぼす可能性もあります。使用する場合は走行可能速度を頭に入れておきましょう。
※以下で示す速度はあくまで目安です。実施の数値は製品の説明書などで確認してください
まず金属製チェーンがいちばん使用可能域が低く、だいたい20〜40km/hが目安です。硬くて強いイメージの金属製ですが、自重もあって摩耗に弱いので意外と速度は低めです。おそらくドライ路面でこの速度を超えると、振動と音で走り続けるのが辛くなってしまうのではないでしょうか。
そして、非金属製チェーンがもっとも速度域が高く、40〜60km/hが目安となっています。ロードノイズは金属製チェーンに比べてだいぶ少ないですが、振動はそこそこあるので、心理的にも高速は厳しいと思います。
最後に布製のチェーン。こちらは金属製チェーンと非金属製のチェーンの中間の約20〜50km/hが目安のようです。タイヤにかぶせただけなので膨らんでしまわないか不安ですが、これくらいまでは走っても大丈夫なように作られているとのこと。
数字を見ていただいたら分かるように、どのチェーンでも、高速道路での使用には無理があります。取り締まりの対象にはなりませんが、安全面を考えて、高速に乗る前(チェーン規制ではない場合)にはチェーンを外しておきましょう。