この記事をまとめると
■NEXCO中日本とNECは除雪車の自動運転化に向けた技術開発を進めている
■今回開発中の自動運転技術を除雪作業車に導入する予定がある
■複数人必要であった作業がひとりでできるようになり、人手不足解消へ期待が高まる
人手不足解消にも効果あり! すごい除雪車を開発中
近年自動車の話題の中心にある技術のひとつが自動運転だ。現状は「運転支援システム」という扱いがほとんどだが、業務の負担軽減を狙って自動運転の研究開発をしている企業もある。今年7月にNEXCO中日本とNECは共同で除雪車の自動運転化に向けた技術開発を開始した。この技術が実現したとき、高速道路での除雪作業はどのように変わるのだろうか?
NEXCO中日本とNECが共同で開発している自動運転化技術とは
今回、NEXCO中日本とNECが共同で開発しているのは、除雪車の梯団(ていだん)走行に関する自動運転化技術だ。梯団走行というのは複数の車両が連なって走る走行のこと。高速道路での除雪作業では各車線をそれぞれ1台ずつの除雪車が前後感覚を一定で開けて走行することがあるが、今回の開発ではこのような走行時の自動運転化を目指している。
この開発の基となっているのが、これまで経済産業省と国土交通省が進めてきた「高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術(隊列走行技術)」だ。この基となった技術では、3台のトラックが同一車線で車間距離9mの車群を組んで走行している。今回新たに始まった開発との大きな違いは、「同一車線を走行するか」、「異なる車線を走行するか」というところにある。
除雪作業の難しさ
除雪車での除雪作業は、当然ながら降雪時でも高速道路を安全に利用できるようにするために行われている。そのため、吹雪による視界不良といった悪条件でも梯団走行による複数車線での除雪作業が必要となるのだ。しかし、この除雪作業をしながらの梯団走行というのは独特の難しさがある。
先頭の除雪車と後続の除雪車が一定の車間を保つというのもあるが、除雪していない個所を作らないために、前面に装着した排雪板が通過する場所に少しだけ重ねる必要がある。そのため、1台に対して運転者と除雪操作装置や周囲確認を行う2名の乗車がこれまでは必要となっていたのだ。しかしながら、労働人口の現状などにより、除雪作業に関する担い手は不足気味。そこで、除雪車での梯団走行時の小人化と省力化を目的として自動運転化に向けての技術開発が着手したという。
現在と未来へのロードマップ
現在は実際の除雪車ではなく、まずはトラックを用いての走行実験が行われている。除雪作業時と同じように、同一車線の走行から梯団走行に移り変わり、再び同一車線に戻るというオペレーションだ。この走行試験は2024年度を目途に完了する予定だ。最終的な現場での運用開始は2020年代後半を目標としている。
実際に現場で採用された場合は、後続となる2番目、3番目の除雪車の作業員を2名から1名に減らすことを目標としているとのこと。
自動運転と聞くと、我々一般ユーザーが楽になるイメージがあるかもしれないが、人手不足と言われている昨今。今回紹介した除雪車のように、運転が「業務」として必要な領域にこそ、自動運転化は急務であるだろう。