この記事をまとめると
■「車酔いする人ほど運転したほうがいい」と巷でよく言われている
■車酔いは人間の三半規管のリンパ液が乱れることが原因で発生する
■免許を取って運転するようになると、クルマの動きに対応した感覚が養われ酔いづらくなる
「運転するようになると車酔いしなくなる」の噂は本当?
子どもの頃、クルマに乗ると気分が悪くなる、いわゆる「車酔い」になってしまうことが多いと、ドライブに出かけるのが怖くなったり苦手になったりしがちです。大人たちから「運転するようになれば治るよ」なんて言われて、「本当かなぁ?」と半信半疑だった人もいるのではないでしょうか。
でも、子どものころに車酔いをしていた大人の皆さんに聞いてみると、不思議と自分が運転するようになったら酔わなくなった、という人が多いので、あながち迷信というわけではなさそうです。
これは、そもそも車酔いが起こる原因が、耳の奥にあって身体の平衡感覚をつかさどっている、三半規管のリンパ液が乱れることにあります。目から入ってくる情報と、身体で感じる情報にズレが生じることによるものです。
そのため、周囲の景色を見たり同乗者と会話をしたりと、頻繁に頭を動かすことになる同乗者は、三半規管のリンパ液が乱れてしまい、車酔いになってしまうのです。もちろん、スマホの操作や読書など、視野が狭くなる行為も車酔いの原因に。車酔いをしやすいという人は、これらの行為を避け、平衡感覚を鍛えて三半規管の機能を高めるような、日常のなかでもできる訓練をするとよいと言われています。
たとえば、寝返りを打つこともそのひとつ。寝返りを打つと平衡感覚が乱されるため、何度も寝返りを打つことで平衡感覚が鍛えられ、三半規管の機能向上につながります。同様に、でんぐり返しや鉄棒の前まわり、後ろまわりなども、平衡感覚を鍛えるのに向いている行動です。
また、子どものころなら公園の滑り台やブランコで遊ぶことで、揺れやスピードに対する免疫力が高まります。これも車酔いに強くなるために有効です。
ただ、やはりいちばんの改善策は、自分が運転するようになることかもしれません。運転をすると、自然にクルマの進行方向を向き、意識するようになります。自分の意思でハンドル操作をするため、どちらの方向にどれくらい曲がるのか、あらかじめ頭でイメージできています。段差があれば揺れる、ヘアピンカーブだから大きく身体が傾く、といった予測と判断ができることも、平衡感覚が乱れにくく、車酔いしにくいと言われる理由です。
そして、免許を取って自分で普段から運転している人であれば、他人が運転するクルマに同乗したときにも、前を見ていればおおよその揺れなどの予測ができるようになるため、車酔いしにくくなるといわれています。それが、子どものころに大人たちから言われた「運転するようになれば治るよ」の根拠ではないでしょうか。