この記事をまとめると
■走行性能を語る際にホイールに関してはあまり話題にならない
■ホイールは、構成する素材によって乗り心地やハンドリング性能に影響を与える
■自分の使い勝手にマッチする安心・安全なホイール選びをしてもらいたい
ホイールの性能は軽視されがち
走行性能を語る際に、タイヤのグリップの重要性はよく議論されるが、ホイールについてはあまり話題となっていないように思う。いまでは常識となったアルミホイール。当初は鉄ホイールより軽いことが最大の特徴として注目されたが、いまではデザイン性を重視している人がほとんどだろう。
ホイールにはタイヤが組み込まれ、サスペンションに装着されて走りを支える。その際、サスペンションスプリングより下、いわゆるバネ下に位置するので重量が大きな影響を及ぼすと言われている。よく「バネ下の1kgはバネ上の10kgに相当する」と言われるように、ホイールが1kg軽くなれば車体を10kg軽量化したのと同等の効果があると言われている。4輪で考えれば4kg/本ならトータルで4kg。バネ上換算すると40kgも軽量したのと同じ効果が期待できるわけだ。
車体を40kgも軽くするのは至難の業で、ホイールやタイヤを軽量化するほうがてっとり早い。そこで鉄より軽いアルミ、アルミより軽いマグネシウム、マグネシウムより軽いカーボン素材へと進化し続けているわけだ。しかし、ただ軽ければいいと言う訳ではない。タイヤとともに命を乗せて走るホイールには、耐久性や耐衝撃性などの堅牢さも重要であり、また高速で回転することから真円度や質量バランスも高度に求められる。
路面からの突き上げに対し、タイヤで一次減衰された衝撃をホイールが受け、ハブを通じてサスペンションから車体へと伝播する。その過程でいかに衝撃を減衰できるかは、乗り心地や車体の耐久性にも影響するのだ。
鉄ホイールの時代は頑丈ではあったが減衰性に劣り、重量は重くデザインの自由度も少なかった。そのため、プラスチック製のホイールカバーを装着しているのが一般的だった。
アルミは鉄より軽いが剛性は低い。そのため、炭素やニッケル、銅などを混ぜるなどして合金とすることで強さを高めた。また、ホイールスポーク部やリム部などの肉厚を増し、剛性と軽さのバランス取る。道路の整備が進み、舗装路を走るのがメインとなったことで多少の堅牢さを失っても、軽量化とデザイン性が重要視されるようになったとも言える。