たまには高回転までエンジンを回すことが重要
■カーボンを溜めないようにする対策は?
では、カーボンを発生、堆積させないようにするにはどうしたらいいでしょう?
対策のひとつは、たまに高回転まで回してあげることです。高回転でエンジンを回すと多くの混合気を燃焼させるとともに燃焼サイクルが早まるため、燃焼室内の温度が上がります。温度が上がると燃焼の効率も上がり、カーボンの発生自体が少なくなりますし、堆積したカーボンもその熱で改めて燃焼されます。「カーボンを焼き切る」という表現はこのことを指します。そして、ピストンの動きが速いため排気の勢いが高くなり、カーボンを外に排出してくれるというわけです。高速道路をちょっと良いペースで長距離を移動したあとで一般道に降りたときに、「あれ、エンジンが軽くなった?」なんて感じた経験がある人も少なくないのではないでしょうか。
これはただ高回転まで上げればいいということではありません。一度や二度高回転まで回しただけでは燃焼室の温度は十分に上がらないので、カーボンを焼いて排出させられる量はごくわずかです。なので、高い回転での走行をある程度維持する必要があります。具体的には最低で数分間、できれば数十分くらいは続けたほうがいいでしょう。
とは言っても、実際には公道で高回転で数分以上走るのは難しいでしょう。MT車や変速レバー付きのAT車なら、高速に乗れば3速固定の6000rpmで100km/hくらいで走り続けられますが、普通のAT車ではDレンジで自動でシフトアップされてしまいますし、2速で高速道路はムリでしょう。あるいは山道が近くにあれば、上り坂でアクセル踏み気味で走ることはできますが、都心近郊ではそれも難しいでしょう。
そういう場合は、できるだけしっかりアクセルを踏んでの加速を心がけてしばらく走ってみましょう。十分とは言い切れないかもしれませんが、それだけでも、やらないよりはしっかり効果はあると思いますので試してみてください。
また、どうしても高回転での運行が難しいという人は、市販の燃料添加剤を使ってカーボンの堆積を抑えるという方法もあります。どの製品がどういう効果があるのかまではここで紹介するのは難しいですが、カーボン除去の効果を謳っている製品を探して試してみるのひとつの手だと思います。
そしてもうひとつの対策は、気温が低い時期にエンジンがある程度温まるまで発進しないということです。高回転まで回すのが難しい人も、これを実践すればカーボンの堆積を防ぐことができます。
水温計が付いているクルマなら水温計の針が動くまで。付いていないクルマの場合はメーター内の青い温度計のランプが消えるまで、あるいはそれもない場合は、始動直後に回転が少し高くなるファーストアイドルが終わって少し回転が下がるまで、動き出さずに暖機をおこないましょう。
ちなみに、上記の暖機をしたからといって車両の状態が万全になったわけではありません。エンジンの温度も最低限のレベルですし、エンジン以外の、ミッションや他の駆動系はまだ冷えたままです。
とくにミッションやデフはギヤの回転で潤滑オイルを回す仕組みなので、停止したときにオイルが落ちた状態でいきなり負荷をかけるとオイルが十分に付いていない状態で強くこすれ合い、ギヤなどにダメージを負わせてしまう可能性もありますので注意しましょう。
まとめると、寒い時期には暖機は充分に、暖機後の走行はやさしく、というのを心がけましょう。そしてカーボンを溜め込まないように、定期的にアクセルをしっかり開けて高回転まで回す機会を設けましょう。