初めて手に入れたポンコツのビートルは「自由の翼」だった! 【クルマのプロに聞く! あなたにとってのクルマとは? まるも亜希子編】 (2/2ページ)

ビートルが与えてくれた「自由の翼」

 でも、そんなポンコツが私にくれたものは、まさに「自由の翼」だったのです。通学がラクになっただけでなく、電車がない深夜だって早朝だって、いつでも好きな時間に好きな場所へ行ける。道が続くかぎり、私はどこへでも行けるんだと思っただけで、夢と希望とワクワクがどんどん膨らんでいったのを覚えています。

 イヤなことがあった日も、不安に潰されそうになったときも、クルマという半プライベート空間に身を置き、流れる景色を見ながらドライブしていると、スーッと心を鎮めることができました。ときにはワンワン号泣したり、友人と深く語り合ったり、海や夜景や山並みに癒されたり。自転車や地下鉄じゃ絶対にできないことが、クルマにはできるんだ。そう実感できたことが、いまの私の原点になったと思います。

クルマの運転をしているライターのまるも亜希子さん

 こういう気持ちをまだ知らない人たちに、クルマの魅力として伝えたい。不自由な毎日を過ごしている人や、自分を取り戻す術を探している人たちにも、クルマがそれを助ける相棒になってくれることを知ってほしい。そんな想いが、自動車メディアの世界に飛び込むきっかけになったのです。

 時代は変わり、カーボンニュートラルや原油高などさまざまな要因で、クルマは悪者にされてしまうこともある現代。たしかに「移動」という目的だけで考えれば、クルマよりももっと賢く、経済的で、地球環境のために良い手段がたくさんあるのは事実です。目的に合わせてそれらを選択することによって、少しでもSDGsに務めることは現代を生きる私たちの義務。

 だけど、クルマには「移動」だけでなく、人生を豊かにしたり、家族や仲間たちとの絆を深めたり、明日への原動力を作ってくれたりといった、多くの魅力があると信じます。それらを未来の人たちに残せるように、クルマのある人生をつないでいくお手伝いをすることが、私からクルマへの恩返しかなと思っています。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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