ライドシェア解禁の前に違法行為の撲滅が必須だ
一方で、これも報道によれば、成田空港での白タク行為への対策のひとつとして、いわゆるライドシェアの導入を検討するべきという声が、千葉県の幹部にあるとしている。ここでいうライドシェアとは、二種免許を取得していないドライバーが乗用車を使ってタクシーのような営業行為を可能にするビジネスモデルを指す。
そう聞くと、ライドシェアは白タク行為を容認するようなことだと捉える人もいるかもしいれない。
そうしたなか、大物政治家らからの「日本版ライドシェア」の解禁に向けた発言が増えている。岸田首相も第212回臨時国会の所信表明演説のなかで、日本におけるライドシェアのあり方について検討するとの発言がある。確かに、日本では公共交通機関の抜本的改革が必要な状況にあり、さまざまな改善策を議論するべき時期であると、国土交通省も提言している。
現在でも白ナンバー車を一般の人が運転して有償で旅客運送を行うことは一部で認められている。たとえば、地域交通が極めて不便である地域、または福祉目的として、自家用車を使う有償での運送は、地域の交通事業者らが協議によって合意形成できたことを前提に、国に申請してそれが受理された場合に限り、実施することができる制度が存在するのだ。これを、自家用有償旅客運送という。
とはいえ、成田空港で自家用有償旅客運送に関する考え方を一部変更して適用することが、白タク行為を撲滅させる良き方向なのかは、個人的には疑問がある。
成田空港における白タク行為については、まずは警察が配車アプリのデータ解析を含めた実態調査をさらに進め、違法行為の裏付けを明確にすることで違法行為を徹底的に検挙することが先決だ。その上で、タクシーやその他の交通手段をどのように棲み分けるのか、または連携することが成田空港の利用者によって有益なのかを、じっくりと議論するべきである。