国産EVバスは配慮の塊だった!
一方、エルガEVでは見事にフルフラット化が実現されている。「オタ席」などとも呼ばれる、扉側最前列や運転席真後ろのフロントホイールハウス上の座席や、リヤホイールハウス上の座席は用意されていない。これについては、車内安全のためにフルフラット化を実現しても、ホイールハウス上に座席があれば、そこに座るときには登り降りしなければならず、実際いままでも車内転倒事故の原因となることが多かったそうで、あえて座席を用意しなかったとのことであった。バス愛好家の筆者としては、オタ席がないのはおおいに不満を覚えるのだが、そのような理由があるのなら素直に受け入れるしかないだろう。
最後列席はその前の席との対面式となっているが、こちらは最後列席と対面になる座席下の床に突起部分があり、フルフラット実現にこだわり対面式としているが、鉄道車両の対面シートよりもスペースは広く取っているとのことであった。
また、とくに中扉乗車、前扉降車のケースでは、バス停での乗降時に車内で降車する人と乗車しようとする人が交錯するといった導線の悪さが指摘されることもあったが、フルフラット化により、中扉を廃止して後ろ扉を設置という良好な導線確保の実現も可能にできるし、その可能性をすでに検証しているとの情報もある。
BEVの特性を活かし、徹底したフルフラットで安全な車内を実現しているあたりは、日系メーカーらしいきめ細かさを感じ、ここだけは外資ブランドとの大きな差だなと感じた。