クルマが発するラップ音!? 走りまわってエンジンを止めたあとの「キンキン」「パキパキ」音の正体とは (2/2ページ)

止めたときの金属音は問題なし!

■収縮すると、なんで音がするの?

 では、収縮するとなぜ音がするのでしょうか? ひとつは板状のパーツが膨張で徐々に歪んでいき、冷えて収縮したときに「パキン」と歪みが戻って音が鳴る現象です。ステンレス製のシンクにカップ焼きそばの湯切りをしていると「ボコン」と音が鳴るのと同じで、あれは膨張による歪みですが、エンジンパーツの場合は歪みが収縮で戻るときに鳴っているんです。排気管や触媒以外でも、遮熱板などの薄板を使ったパーツでは起こりやすいと言えるでしょう。

メルセデスAMG C43 4MATICのエンジンルーム

 また、パーツの結合箇所でも音を発していることもあるようです。たとえば先の排気管とシリンダーヘッドの結合部、あるいはタービンと排気管の結合部、または排気管のジョイント部分などです。収縮率の差でわずかに金属同士の結合がずれたり、留めているボルトの接触面がずれたりして「カキン」とか「チチチチ」という音を発していることもあるようです。

 そして、これはとある技術者の想像ですが、エンジン内やラジエターなどの冷却水路でも音を発しているのではないかという意見もあります。サーモスタットの内部のバイメタルが戻る際に音を発していたり、または温度変化で水の体積変化が起こりその圧がどこかで抜けたときに「ポコポコ」と鳴っていたりということも十分あり得るという話です。

あとがき

 エンジンの稼働中の異音についてはトラブルの可能性が高いため、しっかりと原因を追及してトラブルシューティングをしないとなりませんが、エンジンを切った後の音鳴りに関しては、おおむね問題ありませんので、気になっている人は安心してください。

マツダ・ロードスター(ND)のエンジンルーム

 ちなみに某ハチロクマンガのワンシーンで、走り終わった後にエンジンを切って「チンチンチン……」という擬音が書いてあったのを見て「ああ、この作者さんもかなりクルマが好きなんだな〜」と感じたのを思い出しました。いっそのこと、夏の夜に鳴く虫のようにエンジンが休む前の囁きだと考えると風情があっていいかもしれないですね。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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