昨年のラリージャパンを制したドライバーに直撃取材!
さて、続いてお伝えするのは、昨年のラリージャパンを制したメガネがトレードマークのラリードライバー、ティエリー・ヌービル選手と、「ヒョンデ・ワールドラリーチーム」の監督を務めるシリル・アビテブール氏のインタビューだ。
まず、監督のシリル氏は、今回のラリージャパン全体を「日本は天気がコロコロ変わるところが鬼門だね」と語る。実際、昨年も天候が安定せず、ドライバーを悩ませたこともあったので、今回もかなり警戒している様子であった。
ちなみにシリル氏は、ケーターハムやルノーのF1チームでマネージングディレクターを務めてきたモータースポーツの現場を熟知した人物だ。彼はラリーを、「特殊なモータースポーツなので、F1で考えてたような手法とは違った手段で勝利を狙う」とも語った。それでも、クルマを使う以上、共通しているところはあるようで、「いままでの経験をもとに、上手くやるよ」とも語ってくれた。
それと、先述のように天候がコロコロ変わることもあるので、今回のラリージャパンでのタイヤ選びは慎重に行うという。なので、天気予報をはじめとしたデータは、日本の場合とくに欠かせないそうだ。
最後に日本のモータースポーツファンの印象を聞くと、「世界的に見てもかなり熱狂的で、F1でも今回のラリージャパンでも、その熱量に圧倒される」そうだ。「このファンの情熱をもとに、優勝を目指して戦いたい」と話してくれた。
さて、お次は昨年ラリージャパンを制したヌービル選手。今回のインタビューではオレンジのフチのメガネを着用していた(よくメガネの色が変わることが多いのも彼の特徴だ)。
まず、ドライバー目線で去年と今年の違いをレッキの印象を元に語ってもらった。すると、「今年は落ち葉が多いね。多分本戦はレッキと様変わりしていると思う。その辺りを考慮しうえで走りたいね」と語る。ただ、ペースノートは去年のものがそのまま使えるとのことで、よりブラッシュアップした走りができるのではないかと予想しているそうだ。
”おばけトンネル”とも言われている難所である、SS2にある伊勢神トンネルは、今年舗装が変わったとの情報があったが、同氏曰く「路面がクリーンになってむしろ走りやすよ」と好感触だったようだ。
筆者からはせっかくなので、「日本のステージは世界的に見て難易度はどう?」と質問を投げてみた。するとヌービル選手は「日本はかなり難しいコースだね。路面のコンディションもかなり特殊だ。さっきも言ったように、去年のペースノートが使えるのはうれしいんだけど、コーナーが多すぎて、1ページが1キロくらい、ほかのラリーと比べたら3倍くらいの量になるよここは……」と、苦笑い。
ただ、ヌービル選手はかっ飛ばすよりもコーナーを攻めてる方が好きなようで、「難しいけど日本のコースは好きだよ」と続けた。世界のトップカテゴリーで走るドライバーが日本の公道を気に入ってくれるのは、日本人としてどこかうれしく感じる。
「日本といえばトヨタだが、ヤリス(Rally1)はどう見てますか?」と別の記者からの質問が出た。これに関しては、「ヤリスはターマックが強いね。グラベルはi20の方がいいかな。スピードも出るし。それと、今回のステージに限っては、トヨタ勢と違って我々はプレッシャーがないから気楽だよ(笑)」と語った。ちなみに今回のステージでのライバルは、トヨタから出場する勝田貴元選手だそう。
なおこのヌービル選手、日本食は寿司と鉄板焼きが好きなようで、ラリージャパン前には2日半ほど東京観光もしたとのこと。
最後に、日本のファンへ向けて「ラリーを盛り上げるのがもちろんだけど、ヒョンデが用意するコンテンツも楽しんでね!」と笑顔で語った。
なお、16日の夜に豊田スタジアムで開催されたSS1では、「ヒョンデ・ワールドラリーチーム」のヌービル選手とラッピ選手がワンツーフィニッシュとなり、幸先いいスタート切った。17日の午前中は悪天候などによってSSの一部中止などもあったが、午後からは通常通り競技がスタートしている。
そんな愛知県と岐阜県で2回目の開催となるラリージャパンは、19日まで開催中だ。すでにチケットなどは手に入らない場所も多いが、WRCマシンが公道を走って移動するリエゾン区間は無料で見られるし、テレビやインターネットでの中継などもあるので、クルマ好きもそうでない人も、今週末はぜひラリージャパンを楽しんでみてはいかがだろうか。